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第129話 「友達居ないの?」

ジュン視点です。

 武芸大会本選。

二日目の今日、槍部門の試合も終わり。

後は剣部門の試合を残すのみ。


 各部門の決勝は明日行われ、その後陛下から賞金の授与と閉会の宣言がなされ、それで武芸大会の全てが終わる。


「やっとジュンの出番か。長い前座だったな」


「前座って…」


「あたしやティータの試合もジュンちゃんの前座なの?」


「当然!あ、私の試合は除く!」


「アイシスさん…友達無くしますよ」


 ティータさんやレティさん、それにダイナさんも。

戦友であり友人。折角良い友人が沢山いるのに、大切にしないと。


「大丈夫大丈夫。私達はこれくらいで壊れる関係じゃないよ」


「…なんか腹立つね」


「そうね。この流れでアイシスに言われると、腹が立つわね」


「なんでだよ…って、そうだ!友達と言えば、だ。ジュンに聞きたい事があったんだった」


「ボクに?友達に関してですか?」


「うん。ジュンってさ。友達居ないの?」


「………は?え、いや…居ますけど?セーラさんとか」


「…あのセーラ嬢が友達と呼べるかはちょっと微妙だけど、あの子は女友達でしょ?私が聞きたいのは男友達。ジュンって女の子とは仲良くしてるけど、歳の近い男友達って居なくない?」


「………」


「いやさ、私とジュンが知り合って結構経つけど、ジュンの男友達知らないな~って。グラウハウトでも王都でも、一度も会った事が無いし、聞いた事も無いなって」


 い、言われてみれば、確かに…小さい頃から遊ぶ時はノルンや、メイド見習いの女の子ばかりだった。学院に通ってる時も、男友達は居なかった。


 ナッシュは絡んで来たけど、アイツは友達じゃないし。


「私が知ってるジュンの男友達ってミゲルくらい?でも、アイツらって…いや、ジュンの家臣でもあるし。歳もちょっと離れてるしさ」


 そもそもミゲルさん達はアイシスさんが連れて来たわけですしね。

ボクとも…いや、ミゲルさん達からすれば最初からボクと友達のつもりなんだけど、ボクからすればアイシスさんから引き継いで友達になってるわけで。


「アイシスって残酷な事聞くよね」


「…そうね。ジュンさんには残酷な質問だったみたいね」


「…非道」


「え?そこまでの質問だった?」


「いや…うん、大丈夫です、はい」


 友達…男友達…うん、作ろう。

父上とグレイル様のような関係は羨ましく思えるし。


「あ、一試合目が終わったね」


「次はジュンさんの出番ですよ」


「あ、はい」


 だけど、先ずは目の前の試合だ。

対戦相手は…冒険者かな。知らないオジさんだ。


「ふん。お前が噂の魔帝――」


「「「キャアアアア!ジュン様ー!」」」


「ジュン様ー!メリーアンが見守ってますよー!」


「負けてもメイド全員で御慰めしますからー!」


「勝ったらすんごい事してさしあげますからー!」


 ボクに何か言おうとしたオジさんのセリフはボクへの声援で遮られてしまった。

オジさんの顔が不機嫌顔でボクを睨んで来るが…ボクのせいですかね?


 なんか学院時代にナッシュが似たような顔してたな。


「えっと、すみません。何か仰いましたか?」


「…お前が魔帝――」


「ジュン君ー!白天騎士団総出で応援するわー!」


「わたくしと紅天騎士団も付いてましてよー!」


「私と翠天騎士団もジュン殿の味方だぞー!」


「蒼天騎士団も全力でジュン殿を応援しているぞー!」


「「「頑張れ!魔帝!」」」


 …今度はラティスさん達団長陣と七天騎士団の内、四つの騎士団による声援だ。

またしてもセリフを遮られたオジさんの顔はヒクついてる。


 いや、そんな眼で見られましても…ちょっと悪い事したなって気もして来ましたけど。


「…すみません、もう一度お願いします」


「………お前が魔帝――」


「おーい!魔帝!負けたらとだちになってやんないんだからな!フィルと…じゃなくて、わ、わたしとともだちになりたかったら優勝しろよ!絶対!」


「はい、良く出来ました。というわけでジュンちゃ~ん!あたしも応援してるわ~!」


「娘をよろしくお願いしますねー!」


 …今度はヒューゴ団長一家によって、オジさんのセリフは遮られてしまった。

三回も遮られたオジさんは顔だけじゃなく身体も震えて、ボクを睨みつけてる。


 なんかだんだんボクのせいな気がして来た。


「………なんか、すみません。もう一度だけお願いします」


「………お、お前が魔帝――」


『えー、ここでジュン・グラウバーン殿に、貴賓席におられるアヴェリー・アーデルハイト・ファーブルネス殿下より、応援の御言葉があり、お伝え致します。『ジュン殿の優勝を期待している。頑張ってくれたまえ』…以上です』


「………………お、お前が…」


『あ、殿下?何を、あっ!』


『やぁ、魔帝殿。しばらくぶりだね。私も応援しているから、君の美しく華麗な技を魅せてくれ』


『次は私よ、兄さん。私も応援してるわよ、魔帝殿!だから貴方の能力の高さを私に見せてみなさい!』


「………………」


 今度は大会のアヴェリー殿下とエディ殿下にニーナ殿下だ。

エディ殿下とニーナ殿下はアヴェリー殿下の応援メッセージを聞いて張り合ったんだろうけど…わざわざ進行役から拡声器を奪ってまで言わなくても。


「ええと…もう一度お願いできたりします?」


「もういい!お前、絶対男友達いねーだろ!ボッコボコにしてやるからな!覚悟しろよ!」


 え、ええ……何故、今のやり取りでボクに男友達が居ない事がバレた?

一体何故…聞いても教えてくれそうにないな。


「喰らいやがれ!三連斬撃!」


 三連斬撃…『剣術LV3』のスキルだ。

本選まで残ってるんだし、『剣術LV3』のスキルが最高の技って事はないだろう。

先ずは様子見かな?


 だけど、それは甘いんじゃないかな。


「な、何ぃ!?」


「ボクには甚振る気も遊ぶつもりもないので、速攻で終わらせてもらいます」


 この人もボクの試合を見て無かったクチかな?

油断が過ぎるんじゃないだろうか。


 三連斬撃を回避した直後、飛燕剣でオジさんの両手両足に一撃ずつダメージを入れた。

これで後は胸に一撃入れるだけだ。


「く、くそ…まるで動きが見えなかった。魔帝のくせに、どうなってやがる!その剣に何かあるのか!それともローブか!」


「いえ。確かにボクの装備は何処に出しても恥ずかしくない一級品ですが、動きが良くなるような効果はありませんよ」


 ボクの剣は光剣パルーテと闇剣ミール。

そしてジドさんに魔法付与をしてもらった魔法剣士のローブだ。


 オジさんの装備は…冒険者として悪いモノでは無さそうだが、ボクの装備には遠く及ばないのは確かだろう。


 装備に差があるのは確かだが、腕の差には関係が無い。


「ちくしょう………気に入らねぇぜ、貴族のボンボンが!苦労知らずな顔して高価な装備に身を包みやがって!」


「……否定はしませんよ。ですが、今それを言って何かが変わりますか?」


「うるせぇ!くそ!くそがぁ!スキル!天剣!」


 天剣で剣を強化する意味…試合であるかな?

五か所に一撃を加えるだけでいいのだから、殺す必要も脚や腕を斬り飛ばす必要もないのだけど。

殺人はルール違反だし。


「おらぁ!死ね!死ねぇぇぇぇ!」


 …キレてる?沸点低すぎませんか?


「スキル!神速斬り!」


 神速斬り…『剣術LV6』のスキル。

斬撃の速度を飛躍的に高めてくれるスキルだ。


 確か速い。だけど…アイシスさんの方がずっと速い。


「こ、これも躱すだと!?ぐはっ!」


「終わりです」


 必中の一撃を躱されたオジさんの隙は大きい。

悪いけど、その隙は見逃せない。キッチリ一撃を入れさせてもらった。


「勝者!ジュン・グラウバーン!」


 審判が宣言が出て、またボクへの声援で会場が沸く。

……本来なら気にする必要はないんだが、さっきの今だから、ちょっとオジさんに悪い気がする。


 またオジさんに睨まれて……


「あーあ!負けた負けた!強いな、あんた!」


「え?あ、ありがとうございます?」


「色々言って悪かったな。剣を交えてわかったよ。あんたは苦労知らずの貴族の坊ちゃんじゃねえ。苦労と努力をした貴族の坊ちゃんだ」


「は、はぁ…」


 どっちにしろ坊ちゃん扱いなんですね。いいですけどね。


「オレは王都で冒険者をやってる。何か依頼したい事があれば冒険者ギルドまで来てくれ。安くしとくぜ。じゃあな」


 …何だろう?試合前と随分感じが違うな。

確か、このオジさんの名前は…ブランドンさんか。


 一応、覚えておこう。

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