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第31話♡ 自称飼い主に刻む、獣の印

 聖奈さんの指が、瑠璃華さんの身体を弄ぶように動き、しかし的確に服を脱がせていく。


 瑠璃華さんもなんとか抗おうとしているようだったが、身体の自由が利かないのか、嬌声が上がって素肌が露わになっていく。


「見っ……見るなぁ……っ! 見ないでよぉ!」


 あっという間に生まれたままの姿になった瑠璃華さんが、目に涙を浮かべて僕を睨む。

 ごくっ、と喉が鳴っていた。


「ふ~ん」

「せ、聖奈さん……?」

「何でもないよ、《《今は》》ね」


 イケイケで服を脱がしていた聖奈さんは、いたずらな笑みを浮かべたままなのになぜか妙な圧を感じた。


 とはいえ、瑠璃華さんがこのままではまずい。聖奈さんもそれは助けてあげたいと思っているらしく、ひらりと手を振って視界の外に身を引いた。


「い、今はって――」

「良いから瑠璃華を助けてあげて。OHANASHIはそのあとね」


 助ける。

 ……つまり、瑠璃華さんに僕のを注ぐってことだ。


「嫌よ」


 裸体で僕に跨った瑠璃華さんは、それでも頑なだった。

 ただし、それは拒絶の言葉ではない。


「私が飼い主なの! だから私が上っ!」


 宣言した瑠璃華さんが僕の顔を覗き込む。


「いーい? とーやは私だけを見なさい。聖奈のことなんて見てたら、許さないわよ?」

「わかっ――」


 返事をするまでもなく、唇を押し当てられた。


――――――【自主規制】――――――


 顔を真っ赤にして怒る瑠璃華さんの背後に、白い翼がはためく。

 聖奈さんだ。


「瑠璃華、気持ちよさそうだったね~♡ 駄目って言いながら誘ってるようにしか見えなかったけど」

「せせせせっ、聖奈っ!?」

「そうだよ……無事でよかった」


 瑠璃華さんを背中から包み込むように抱きしめた聖奈さん。


 まさに慈母か天使のようだ。


 ……と思ったんだけれども、たおやかな笑みには妙な圧が含まれていた。


「それで。ルゥくんと瑠璃華はどんな関係なのかな?」

「あっ、えっと、その」

「……飼い主とペットよ」


 瑠璃華さんの回答に、聖奈さんの笑顔が何となく冷え込んだ気がした。


「ふ~ん。それじゃあ、私のことはお願いするまで『天塚さん』だったのに、瑠璃華のことは最初から名前だったのはどうして?」

「あの、それは、その」


 言い淀む僕をよそに、瑠璃華さんが勝気な笑みを浮かべた。


 あっ、これ絶対マズいやつだ。

 そう気付いた時には、瑠璃華さんの口から言葉がまろびでていた。


「決まってるじゃない。とーやは私の方が好きだからよ」

「へぇぇぇぇ? そうなんだ」

「いや、そんなことはなくて……その……」

「何よ。あれだけ激しくしといて、私とのことは遊びだったってこと?」

「えっ!? いや、そんなつもりはなくて――」

「ルゥくん、良いんだよ。お姉ちゃんは遊びでも怒らないから。そんなおこりんぼより、お姉ちゃんのとこにおいで♡ 甘やかしてあげるから♡」

「とーや! 駄目よっ!」

「ルゥくん♡」


 二人にぐいぐいと……否、もにゅもにゅと迫られ、幸せな圧迫死が間近に迫る。良い匂いとい柔らかく温かな感触に包まれて死ねるならある意味幸せだろうけれど、胃が痛くなりそうな追求は止まる気配がなかった。


・――省燃費形態へと移行します。


「ふーん、躾してほしいってことからしら」

「お姉ちゃんに甘えたいってことだよね?」


 なんとかいっぱいのおっぱいから抜け出そうとしたけれど、二人から左右の前脚をがっちりつかまれて失敗した。


 哀れにもバンザイさせられた状態の仔犬(ぼく)


「きゅぅぅん……」


 隠しきれないエクスカリバーだけが元気いっぱいになっていた。


「それじゃあ、どっちが良いか分からせてあげるわ♡」

「ふふっ、何度でも思い出させるって約束だもんね♡」


 こうして、リリン=リ・リとの戦いは何とも締まらない終わりを迎えた――が、ベッドの上で新たなる戦いを強いられることになるのだった。

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