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異世界ふとん至上主義!  作者: 一人記
第一章

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第五十九話『リザードマン防衛会議①』


「さて……今回の件の発端となった要人たちが揃った所で、話を始めようか?」


 私とルフが寝泊まりしている部屋から二部屋ほどあいた位置にある、ギルド二階の真ん中の部屋。

二階にある他の部屋よりも少しだけ広く、しっかりとした作りの長机と丸椅子が置いてあるその部屋で、私を含めた六人が思い思いの場所に座っていた。


「まずは、軽く自己紹介から。

私はここ、アシエーラ冒険者ギルド支部『灯火の剣』マスター

……ヴァレント・バタギニエルだ」


 ヴァレントさんが自己紹介をし終わると、そのヴァレントさんの後ろ辺りに立っていたルミネさんが軽く礼をする。


ふむ……おそらくルミネさんは秘書的な立ち位置の人なのだろうな。


 私はそれを理解して、次に自己紹介するであろうギルマスの隣に座っている人へ目線を向ける。

全く……こういうしっかりとした独特なマナーのある会議は、合わせるのが面倒くさくて叶わんな。空気読みかよ……


「あー……リキドだ、リギド・ウォーカー。

このギルド……『灯火の剣』で活動してて、一応Aランク冒険者をやっている。宜しく」


 こちらの世界の包帯らしきものをあちこちに巻かれているリギドさんが、どこか居心地悪そうに自己紹介をした。


リギドさんこういう会議とか苦手そうだもんなぁ……

力こそ正義!みたいなタイプだもんな絶対。


……ていうかそんなことより。

このギルドって、ちゃんとした名前みたいなやつがあったんだな……


『灯火の剣』かぁ。私も自己紹介する時『灯火の剣』で活動してるって言った方がいいのかな……?


私はそんなくだらないことを考えながら、次の人……


ここに来た時から何気に一番気になっていた人に視線を移した。


 口元全体を暗色の布で覆い隠した上から、その全身すら覆い尽くすような丈の長い服を着ている男性。

肌色が見えているのは目元の僅かな隙間だけで、唯一見えている目は、鋭い眼光で目下に隈ができていた。


その服装を例えるならば西洋風の忍者といった感じである。


「『空凪のジン』だ……」


 その私の厨二心を掴んで離してくれない男性は、二つ名のようなものを一言だけ呟くと自分の席へ腰を下ろしてしまった。


うーむ……その何者にもとらわれないような寡黙さ……


自分は忍ぶことが仕事だと行動で表現しているかのような立ち振る舞い……!


やはり圧倒的な忍者感を感じるな……!


『空凪の』ジンさんね……忍者の人はジンさん……よし確実に覚えたな!


うわ、今部屋の隅を睨んだぞ!物音に敏感なんだきっと……!

まじでかっこいいな……!


 ジンさんの立ち振る舞いに、私はいちいち感嘆の声をあげそうになる。

しかし、私はそんなことをして変な人に思われては敵わないので、何とかグッと堪えて我慢した。


 そうやって私が声を上げたい葛藤に悶えていると、私の隣に座っていた見知った人物が口を開く。


「流れ的に次は僕の番ですかね……

『大剣のリギド』さんや『空凪のジン』さんのようなAランク冒険者様と同じ空間にいることが不思議でならないのですが……」


 少し暗めの金髪をした中年の男性。

しかし、服の下からでもしっかりと引き締まっているとわかる筋肉質な肉体を持った中年である。


「ゴホン……僕はヴォレオ・レオンです。

元々はCランク冒険者でしたが、今は細々と商人をやらせて貰ってます。皆様どうぞよろしくお願いします」


 そんな商人か冒険者か分からないような肉体をしたヴォレオさんは、長い前置きの後切り替えるように一つ咳払いをし、私達に向けて深々と礼をした。


 ヴォレオさんと会うのは久しぶりだな。

この街に送って貰い、ギルマスに村のことや異常個体リザードマンのことを話してからというもの、一切会う機会がなかったからな……


街に送って貰ったお礼をきちんとしたかったので、会議が終わった後にでも話しかけてみるか。


「……」


 私がそんなことを考えていると、周囲の視線が私に集まるのを感じる。


ギルマス、ルミネさん、リギドさん、忍者の人、ヴォレオさん……


 私はそのたくさんの視線を受け、心の中ではぁ……とため息をつく。そして、憂鬱な気持ちを表に出さないよう平然な顔を取り繕いゆっくりと立ち上がった。


というわけで……次は私の番である。


「どうも……私は三週間ほど前から『灯火の剣』でDランク冒険者として活動させて頂いています、永巳(ながみ) 叶夢(かなむ)と申します。


冒険者としては皆様に及ぶべくもありませんが、件の異常個体リザードマンのことに関しては深く関わっておりますのでどうかよろしくお願いします」


よし……言い切った……!


私は心の中で軽くガッツポーズをして深々と頭を下げた。


このぐらい畏まっとけばとりあえず粗相はないだろう……!


 日頃はずぼらな私とて、生まれは礼儀を重んじる日本なのだよ……表面を取り繕うことに関してならそんじょそこらの奴には負けぬ!

……さすがにルーチェさんとかには敵わないがな!


そんなことを考えながら、自らの席にスっと着席する。


……しかしそんな私の心境とは裏腹に、何故か部屋にいる全員が私を見て固まっていた。


「えっと……どうかされましたか?」


しまった……!

もしかして何かやらかしてしまったのだろうか……?


そんなことを思いながらみんなの顔を見渡す。


「───ッ……!あ、あぁ……いや。なんでもない!

とりあえず自己紹介も終わった事だし、詳細な作戦について話していこう!」


 私の言葉を聞いてハッとしたように周囲を見渡し、慌てて話し始めるギルマス。

そしてそれに合わせるように周囲も頷いて話は進んでいく。


その様子からは、なんだか少しだけ避けられてる気がしないでもない……


うぅ……なんだろう?


自分では出してるつもりだったが、もしかしたら声とか小さかったんだろうか……?


 あれだろうか……自分では割と得意だと思ってた歌を自信満々にカラオケで歌ってみたら、意外と歌えなかった的なあれだろうか……?


もしくはめちゃくちゃ滑舌悪かったとか……?


あぁ……しかしどれにしたって落ち込むなぁ……


きっと引かれている……終わった……


……そんなふうに、後悔の念を募らせている私を尻目に会議は進んでいくのだった。


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