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俺、悪役騎士団長に転生する。  作者: 酒本アズサ


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219/238

219.

お待たせしました!

連載再開です!

今月は更新速度アップの予定でございます。

「どうして人族とドラゴンが一緒に行動しているんです? まさか従魔契約をしているとでも?」



 さすがに俺達四人の中でジャンヌがドラゴンという事はわかるらしく、俺とシモンにあざけるような視線を向けた。



「そうだよ! ボクとお母さんはジュスタンと従魔契約してるんだ」



 無邪気な笑顔で藍にそう答えるジェス。

 だが、答えを聞いた藍の方は固まっていた。



「『ボクとお母さん』……? まさか坊やもドラゴン!?」



 ゴクリと唾を飲み込み、ジェスに聞いている。

 てっきり小僧とか言いそうだと思ったのに、坊やだなんて言葉を使ったのはジェスがドラゴンだからなのか、それとも子供だから優しく対応しているのか。



「うん! ボクの方が先に契約したんだよ! ね~!」



「そうだな。あの時はエレノアと死ぬかと思った」



 実際ブレスを吐かれた時は、かなり肝が冷えたのを覚えている。

 肩を竦めた俺を見て、ジェスは眉尻を下げた。



「ご、ごめんなさい……」



「ははっ、冗談だ。あれはジェスの意思じゃなかったから仕方ないと思っているさ」



「あ~、あの石畳の溶けたブレスか! よく団長が無事だったなってみんなで話してたもんな。エレノアじゃなきゃ逃げられなかっただろうし、それこそ相棒の馬を大事にしないとって話になったくらいだぜ」



 石畳が溶けた、の言葉に、萌以外のエルフ達がゴクリと唾を飲み込んだ。

 いくら人族と比べ物にならないほどの魔力を持っているエルフでも、ドラゴンブレスに匹敵する攻撃魔法はないだろう。

 防壁魔法で自分一人を守る事はできるかもしれないが、里全体となるとジャンヌが張った結界の外からの攻撃ならともかく、中からの攻撃だったら壊滅するだろうな。



「ほぅ、ジェスはなかなかやるんじゃのぅ。優しい性格でよかったと思わねば。これは主であるジュスタンの影響かのぅ、それともジャンヌの育て方か?」



「両方だよ! だって、ジュスタンもお母さんも優しいからね!」


 

 ニコニコと答えるジェスに胸が温かくなる。

 萌は一度頷いてから口を開いた。



「ドラゴンの主であるジュスタンがお主らに聞きたい事があるそうだ。それなら、まずはお互い自己紹介をした方がよかろう」



「わかりました。……私はこの里を出て黒狼という集団の頭をしている藍です。こちらの二人は私の補佐をしている菊と、ダークエルフの方は蘭と言います。お見知りおきを」



 慇懃無礼というのがぴったりな言葉と態度だな。

 明らかに視線が俺を値踏みしている。

 俺は敢えて立ち上がらずに名乗る事にした。

 向こうは立っているものの、見下ろした状態で頭も下げていないからな。



「俺はジュスタン・ド・ヴァンディエール伯爵だ。伯爵と言ってもこの大陸ではなく、エルドラシア王国から船で一週間ほど行った国の、だがな。そこの第三騎士団の団長をしているが、女神の神託で旅をしている。こっちは部下のシモンで、さっき聞いたと思うが、そちらの親子は俺と従魔契約しているジェスとジャンヌだ」



 俺がそう言うと、藍は数秒固まった。



「女神の神託……?」



「ああ、こちらには情報が届いていなかったかもしれないが、ふた月ほど前に邪神が復活してな。俺達も含めて聖女と協力して討伐した。その聖女が女神からの神託を受け取ったらしい」



「…………」



 今度はとうとう無表情のまま無言になってしまった。

 変化の少ないエルフの生活の中に、いきなり大量の情報を与えすぎたか?

 そういえば、何かで現代人が一日で触れる情報量は平安時代の一生分とか見たが、エルフも平安時代と変わらない情報量の中で生きているんじゃないだろうか。



 そうだとしたら、確実に情報過多でオーバーヒートしているんだろう。

 隣に立っている菊も藍と同じような状態だしな。

 しかし、蘭はキョトンとしているだけだ。

 いや、これは茅の言っていた演技かもしれない。



 ちなみにシモンはさっきから蘭の方をチラチラと見ている。

 やめろ、蘭は見られている事に気付いていないフリをしているが、絶対に気付いているぞ。

 大学の飲み会の裏で、ハンターとあだ名を付けられていた女子と同じ匂いがするから絶対に危険だ。

 弟達が酒臭いと言って近寄らなくなるから、数回しか参加した事はないが。



「ドラゴンに女神の神託を受けた男か……」



 ボソボソと藍がなにやら呟いた。



「どうかしたか?」



「いえ、ぜひとも我々の集落にも遊びに来ていただこうと思ったまで。黒狼の集落にはここにないコーヒー豆という物を栽培していて、人族にも人気があると聞いたもので」



 ふぅん、聞いた……ねぇ。



「それならエルドラシア王国で飲んだな。仕入れ先は教えてもらえなかったが、融通してもらえる分があるなら売ってもらいたいくらいには気に入っている」



「それは嬉しい。であれば早くこちらの話を終わらせて案内しましょう」



 そう言って藍は何やら書類を取り出し、萌と話し始めた。

 黒狼の本拠地を知っておくのは、こちらとしても願ってもない事だしな。

 それにしても、萌といい、藍といい、長寿でいくらでも時間があるのに行動が早過ぎないか?

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