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第16話 いざ、図書館へ!

 寝言でプロポーズしたノアに戻ります。


「痛いですよ! 何でいきなり叩くんですか! 見た目よりずっと力強いですッ!」


「私の手を握りながら他の女性に向かってプロポーズなんかしたからです!」


「……プロポーズ? ですか?」


「えぇそうです! 『エル』っていう人の名前を呟いて、『君がいなくなったら私はまた独りになってしまう』なんて、女性を引き留める言葉───プロポーズに決まっているじゃないですかッ!」


「え、俺、そんなこと言ってたの……?」


「何をすっとぼけているのですッ! 変態! スケベ!」


「それだけでそんな、理不尽な……」


 皆さん、聞きましたか? 世の中の女性はプロポーズされると『変態、スケベ』と思うそうです! って、そんなのあるか!

 あ、どうも、いきなり殴られて寝起きが最悪のノアです。平手打ちだったはずなのに大の男に拳で殴られるより痛いって何なんだろう。エイダ教官って実は馬鹿力?


「ノア教官、何か失礼なこと考えているでしょう……」


 むすっとしているエイダ教官。可愛いね、その表情。馬鹿力の割に。


「いえいえ、別に何も。それより、さっきの俺の寝言を聞いて、懐かしいなぁと思いまして」


「何ですか。やっぱり言ったことあるんですか」


 おう、勿論言ったことあるとも。もう10年以上前だけどね。しかも別にプロポーズではなかったという。

 あれぇ? エイダ教官の目がキラキラしているのは気のせいかなー? 気のせいじゃないねー、俺のエピソードでも聞きたいの?


「エイダ教官……」


「はいっ!」


「恋バナが好きな人ですか?」


「それは勿論、女ですからっ!」


 お、女の人って恋バナ好きなんだ? へぇ、そっか、この世界(ここ)でも共通なことは多いなぁ。

 そして俺のことを期待するような目で見るのはやめようか。俺が恋バナなんて話せるわけがない!


「ノア教官!」


「は、はい」


()()を言った後、どうなったのですかっ?」


 それ聞いちゃう? まぁこれくらいはいいけどな。


「どうもこうも、何もありませんでしたよ。もとより、ちょっとした誤解があっただけですし」


「ふむふむ!」


「……これだけです。さて、エイダ教官」


「話を逸らさないで下さい!」


 無視無視。


「この学園には図書室って無いんですか?」


「……ありません。近くに図書館があるので、そこを利用します」


 渋々ながら質問にはちゃんと答えてくれるところ、可愛いよ。あざとくないのが更にグッド。きっとモテるんじゃないかな?

 うん、きっとそうだ、モテるんだ。彼氏の1人や2人いても変じゃ───いやエイダ教官の性格だと1人だけかな。会って1日目だから分からんけど。

 こういうのは直接聞いた方が早い。


「エイダ教官、彼氏いますか?」


「……新たなセクハラですか?」


 酷い! 告白フラグとは考えずにすぐセクハラへ行ってしまうとは! フラグ立てたい訳じゃないからいいけど!


「いえ、モテそうだと思ったんで」


「も、モテそう……!?」


 正直に言ってみた。

 そしたら赤くなられた。

 おやぁ? もしかして初めて言われたかなぁ? エイダ教官の『ハジメテ』を頂いたぜ! すいません、ふざけました。


 冗談はさておき。

 たっぷりと昼寝をしたので目はパッチリだ。それは気絶していたエイダ教官にも言えること……。

 ぱちっと目が合った。すっと目線を逸らされた。

 何でだ。

 やましいことは考えていないよ? 図書館に案内してほしいだけだよ? まだ言葉にもしてないよー?


「エイダ教官、図書館に案内して下さい」


「えっ……」


 めっちゃ嫌そうな顔をされた。だがこれは譲れない。

 俺には3年分の情報が無い。知っておきたいことなど山ほどある。

 3年前に、調べたいと思いながらも時間がなくてそれが出来なかったことも、調べたい。

 名門校とは言っても、学校に大層な本が置いてあるとは思っちゃいないが……。その時はその時で、金を商会に取りに行くついでに王都の図書館にでも行く。


 クソ神から聞いた話だと、今日は4月9日水曜日。週末でないと辺境のここから王都まで行く時間がない。

 ちなみにこの世界の時間の間隔は地球と同じだ。四季もある。

 1年は12ヶ月、1ヶ月は最低が29日で最高が31日、1日は24時間、1時間は60分、1分は60秒だ。曜日も休日の取り方もほぼと言うか全く地球と同じ。

 同じだと楽で助かる。……まさかここら辺も計算して転生させた、なんて言わないよな?


「私は場所を教えるだけですよ! それでノア教官、夜になったら、戻って来ますよね!?」


「ん? えぇ、勿論」


 調べものに夢中になっていなければ。もしくは調べものが簡単に見つかれば。

 昼寝したから眠くならないだろう。それなら夜中でも得られる情報は取っておきたい。

 というかエイダ教官、何でそんなことを聞いてくるんだ?

 ま、いっか。


「じゃあ早速行きましょうかね」







 ────図書館へ行く道中……。


「ここ3年間で変わったことってあります?」


「んー……やはり、治安が良くなりました。

 あのクーデターの後、現在の国王陛下が即位されて、革命者様が事前に提出されていた法案が通ったので、国民の生活は全体的に潤ってきているようです」


「革命者様って……」


「第1王子殿下のことです。まだ国王陛下にお子はいませんが、いつかはできるでしょう?

 お子ができれば第1王子殿下は第1王子殿下でなくなってしまうので、皆革命者様と呼んでいます」


「……………他には?」


「他ですか? えーっと……3年間と言っても、あったことには全てクーデター関係ですから……」


「では、クーデターの後は何か変わったりしましたか? 主に、貴族のことで」


「貴族ですか……。そういえば、何人もの当主様が行方不明になったり、無惨な姿で発見されたりしたそうですよ? 詳しいことは知りませんが」


「そうですか。ありがとうございます。詳しいことは王都に行って自分で聞くことにします。

 なので今はエイダ教官の体型について詳しいことを……」


「ではノア教官! 図書館に着いたので私はこれでっ!」


「あ、エイダ教官! ………逃げ足速いなぁ……」


 お読みいただきありがとうございますm(__)m


 この1話の登場人物

 ノア・アーカイヤ 主人公。黒髪黒目。プロポーズ紛いの言葉を10年以上前に言ったことあり。実際はプロポーズじゃない。

 取得属性魔法:闇、水、雷


 エイダ・ギレンラ 水色の髪と群青色の瞳。ノア曰く『馬鹿力』。けっこう純心。……かな……?

 取得属性魔法:治癒、火

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