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爆乳ハーレム島の錬金術師  作者: 生姜寧也


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94/339

94:偏向報道、ダメ絶対

 さて。時刻は14時10分を回ったところ。日没までまだ猶予もあるし、ガラス素材の情報収集かな。

 ポーラとシェレンさんは疲れたみたいで、俺とおやすみのキスを交わした後、お昼寝のために自室へと引っ込んだ。まあ普段から家事や縫い物、学校の授業と忙しいんだし、休める時に休んだ方が良いよな。


「んじゃまあ、ソロだけど頑張りますか」


 レシピの残りはセイリュウ珪砂と、お石灰岩とやらだけど。

 前者は、もちろんセイリュウ海域だろうけど、後者の方は……これも海か? ゲンブの方か? 


「とりま分かってるセイリュウの方に行くか」


 家を出る。と、すぐに。誰かにぶつかりそうになった。


「うわ! ビックリした!」


 ちょうど訪ねて来たところだろうか。相手をしっかりと見る。途端にハッと息を飲んだ。女性……なのは当たり前なんだけど。黒と赤のツートン髪の頭頂辺りに猫耳がピョコンと生えていた。日本でもコスプレ界隈では日常茶飯事なので、猫耳自体は珍しくもないんだけど。


「ほ、本物?」


 毛の質感とか、内耳の生々しさとか。


「にゃ! これが偽物に見えるっすか!?」


 猫耳少女は耳をピコピコと動かしてみせる。お、おお。やっぱ本物か。すげえな、ファンタジー世界。「どうだ?」と見上げてくる少女の姿を改めて正面から見る。丸っこいドングリ目、キレイな鼻筋と薄い唇、顔の輪郭に沿って外側に跳ねたクセ毛。シェレンさんのような正統派美人とは違ったタイプだが、魅力的なルックスの少女だった。

 そしてポーラより小さな体に、この島では珍しい普通くらいのお胸。ショートパンツの臀部からは尻尾も覗いている。

 総じて。


「可愛い」


「にゃ!? 亜人のウチを可愛い!? からかってるっすか?」


 凄く驚かれたけど、日本なら女子に囲まれてしまう可愛らしさだと思うけどね。


「さ、流石は異世界人っす。ウチの姿を見ても気味悪がったりするどころか、か、可愛いなんて」


 そう言って少し頬を赤らめていたが、やがてフルフルと頭を振った少女。仕切り直して。


「……申し遅れたっす。ウチはクローチェ。見ての通り、猫人族っす」


 猫人族っていうのが、まず俺のデータベースに無いワケだが。俺の顔に浮かんでいる疑問符には気付かなかったようで、そのまま続ける。


「そっちの自己紹介は大丈夫っす。有名人っすからね。アキラって呼ばせてもらうっす」


「あ、うん。よろしく、クローチェ」


 そっと手を差し出してみる。ニチカみたいにお乳に顔を挟んでくれる雰囲気はないし、握手くらいが妥当かなと。握り返してくれたのでホッとする。手は……猫の体毛とかもなく、普通に人間の手だった。

 そして近くで見ると……髪で隠してるけど、人間型の耳も顔の側部についてるのが分かる。猫耳2つと人間の耳2つ。二次元だとそういうキャラも多いけど(いやここも二次元だけどね)、実際に見ると不思議な感じだな。


「……」


 俺の視線に気付いたか、握手の手を離し、そっと髪を撫でつけるクローチェ。

 ……またやってしまった。アティのオッドアイの時に学習したハズなのに。

 ただクローチェはアティよりも強かな性格のようで、逆にこちらの薄い胸元(男だから当然なんだが)や、太い二の腕などをチラチラと見てきた。まあ俺としても、それで()()()()にしてくれるなら、気が楽で良いが。


「……えっと。それでクローチェは今日は何をしに?」


 俺を訪ねて来たのか、ポーラやシェレンさんの方かは定かじゃないが、玄関先まで来てたということは、この家に用があったのは確実だろう。


「あ、そうだったす。ウチ、実は新聞を書いてるっす」


「え。ああ、新聞」


 日本では取ってなかったし、すっかり存在を忘れかけてた物だけど。そうか、この島だとむしろバリバリの現役だろうな。


「つまり……俺を取材しに来たってこと?」


 なんか自意識過剰な痛々しい響きがあるけど、恐らくは実際そうだろうし、クローチェも首肯を返してきた。


「そうっす。明日の週刊新聞に記事を載せるっす。それでババーンと掲示するっす」


 週刊。そうか、明日で俺が来て1週間経つんだな。とすると、もしかして、


「ちなみに、その掲示に合わせて集会みたいなのも行われるの?」


「はいっす。1週間に1回、島民集会っす」


 なるほど、やっぱり。俺が転生した時に放り出された広場。そこで行われていた集会も週1か。


「……それで、どうっすか? 取材」


「うーん。そうだなあ」


 正直、あんまりメディアに良い印象ないんだよな。


「ウィドナばあさんの息が掛かってて、俺を貶める記事を書くとか」


「ぎっくー!」


 ぎっくー言うたな。てか実際に口で言う人、初めて見たぞ。


「だ、大丈夫っすよ! ロスマリー様に公平に書くよう釘を刺されてるっすから!」


 そのセリフで思い出した。そうか。数日前の夜、ロスマリーと話してた相手。アレがクローチェだったのか。林の中だったし、ボソボソとした内緒話の声量だったしで、結びつかなかったけど。

 言われてみれば、あの時の密談相手は鼻やら耳やら、かなり良さそうだった。それが猫人族の特性がなせる業だったとしたら、なるほど合点がいった。

 つまり、ロスマリーが「汚い手など使いたくない」と言ってたのは、偏向報道するなってことだったんだな。


「どうしたっすか? やっぱダメっすか?」


 黙り込んだ俺に、不安げに眉根を寄せるクローチェ。


「あー、いや。そうだな……公平って、俺がやった功績も書いてくれるってことだよな?」


「そうっす。良いことも悪いこともっす」


 心情的には良いことだけ書いて欲しいけど、それだとウィドナと同じになるからな。

 それに俺は基本的に書かれてマズイことはしてないつもりだし。

 承諾の方向で固める。ただ、


「分かった。ただし条件がある」


「条件っすか?」


「トンテキと寿司を紹介して欲しい」


 メディアのもう1つの使い方、商品やサービスの宣伝。

 ……存分に利用させてもらいましょう。

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