ツンデレ(?)なアネットちゃん
コミカライズ4巻が発売となりました!
こちらは発売を祝しまして、記念短編となっています。
ある日、サイラスは娘のアネットと共に、街中を歩いていた。
「ん?」
足を止める。
アネットがショーウィンドウの前で、急に立ち止まったからだ。
そのショーウィンドウには、可愛らしいぬいぐるみが並べられている。
彼女は特に、熊の大きいぬいぐるみに惹かれているようだった。
サイズはアネットと同じくらい。
彼女は顔こそ無表情なものの、熊のぬいぐるみをじーっと見つめていた。
「アネット、もしかして……そのぬいぐるみが欲しいのかい?」
サイラスは問いかける。
「……(ぷいっ)」
すると、アネットを目を逸らして、そのまま再度歩き出してしまった。
(彼女がこうして、なにかに惹かれていることは珍しい。いつも感情を表に出さない子だからね)
アネットが笑っているところは、サイラスですら見たことがない。
ゆえに、なんとかして笑ってもらおうと今まで画策していたが……上手くいかなかった。
(あのぬいぐるみが、彼女の心をほぐしてくれるかも?)
サイラスはそう思い、「待って」とアネットを呼び止める。
「あのぬいぐるみ、買おっか」
とサイラスは言うが、アネットはうんともすんとも言わない。
サイラスはそんな彼女の様子に苦笑しながら、店内に入る。そして店員に言って、熊のぬいぐるみを購入した。
「あらら〜、可愛い子ですね〜。このぬいぐるみは子どもに人気なんですよ。きっと喜んでくれると思います〜」
店員はサイラスたちを見て、微笑ましそうだった。
だが一方、相変わらずアネットは少しも笑わない。
あれほど欲しそうにしていたぬいぐるみを前にしても、今は一切興味を示さなかった。
(アテが外れたかな……?)
サイラスは内心、落胆する。
しかしそうだとしても、少しでもアネットが感情を表に出してくれるなら──。
そう願いながら、店を後にした。
──その日の夜。
「アネット、もう寝たのかい──」
アネットのことが心配になり、サイラスは寝室に入った。
するとそこには。
「おやおや」
昼間に買った熊のぬいぐるみを抱いて、アネットがすやすやと安らかな寝息を立てていたのだ。
同じくらいの大きさのぬいぐるみを大事そうに抱えるアネットは、歳相応で、とても可愛らしかった。
「買った時は興味がなさそうだったのに……どうやら、気に入ってくれたようだね」
サイラスは頬を綻ばせるのであった。
朱城怜一先生によるコミカライズ4巻が、本日発売となりました。
ぜひ、全国の書店や電子書籍などで手に取ってくださいませ!




