90.
ゆっくりと俺は目を覚ます。
自宅の天井がそこにはある。
そして最近は、目覚めとともにトテモイイ匂いが直ぐ近くからするのだ。
「んが~……しゅぴ~……ぬへっへえ~……♡ じゅーどさぁん……ちゅき~……♡ ぬへ~♡」
バイト少女のひとり、ハルコちゃんだ。
桃色の髪が鮮やかで、大きな胸が特徴的だ。
この店を始めてから、雇った子である。
元気で明るく、それでいて可愛い。うむ、言うことなし。
そんな彼女は毎晩のように俺を求めてくる。
もう一人のカノジョ、キャスコとかわりばんこに俺の部屋にやってきて、可愛くおねだりしてくるのだ。
ハルコと付き合うようになり、毎晩肌を重ね、起きると隣に彼女がいる。
甘い匂いが体からしてくるからふしぎだ。
女子ってなんでこうも、良い匂いさせてるんだろうね。
俺と同じ物食べて、同じシャンプーとか使ってるはずなのに。
うーむ、謎……。
「ふぁあ……あれ? ジュードさん……もう朝ぁ?」
「うん、おはようハルちゃん。朝ですぜ」
「しょぉっかぁ~……ぐー……すぴー……」
ハルちゃんまた寝てしまった。
まあ朝飯までまだ時間あるし、寝かせておこう。
俺は朝の仕込みとか、街の掃除とかがあるし、一足先に起きる。
ベッドの周りに落ちてる俺とカノジョの服を回収し、新しいシャツに着替える。
ハルコは幸せそうにぐーすかのんきに寝ている。
うん、可愛い。
がちゃ、と扉を開けると、寝ぼけ眼のハルコが、俺を見てふにゃりと微笑む。
「いってらっふぁー……い♡」
……最初、恋人作るのってどうだろうって思った。
俺は別に結婚する気とか元々なかったし、一人で死んでくんだろうなって思ってた。別にそれでいいと思ってた。
でも恋人ができて、毎日ふれあう都度、恋人ができてよかったなぁってそう思うんだよな。うん。




