147.
《ジュードSide》
精神を乗っ取られていた俺だけど、グスカスたち教え子のおかげで、なんとか戻ってこれた。
おのおのの……特に、グスカスの成長が見られて、俺は満足だった。
「迷宮核、破壊するぜ?」
「ああ、頼む」
迷宮核。
それはダンジョンの心臓とも言える存在。
これを潰すことで、ダンジョンは消滅する。
そして核は破壊されたあと、破壊者にたいして、恩恵をもたらすという。
グスカスはダンジョンを砕いた。
すると、ごごごごお……! とダンジョンの部屋全体が揺れ出す。
「……ダンジョンクリアされたようですね」
「ああ、そうだな……」
キャスコが俺に寄り添ってくれる。
ぎゅっ、と抱きしめてくれる。その体から伝わる暖かさが、俺に……活力を与えてくれた。
「このあとって、確かダンジョン内のやつらが全員、外に飛ばされるんだっけ? ランダムに」
「……そのとおりです。あ、転移が始まるみたいですね」
カッ……! と目の前が真っ白になる。
やがて……。
「ん? あれ、ここって……」
俺たちがいたのは、俺の喫茶店、ストレイキャットのある街だった。
「うえええ!? じゅ、ジュードさん!?」
「え? ハルちゃん?」
ぽかん、とした表情で、赤髪の少女が俺を見ている。
「な、ななな? なんで!? どうしてジュードさんが!?」
「あー……色々終わって帰ってきたよ。ただいま」
じわ……とハルコが目に涙をためると、こっちにかけてくる。
凄い勢いで飛びついて、わんわんと泣き出した。
「うわぁあああああああん! ジュードとキャスちゃんが帰ってきたよぅう! うわぁああああああん!」
どうやら随分と、心配をかけてしまったようだ。
申し訳なさがムクムクと湧き上がってくる。
俺は愛おしい少女の頭をなでながら言う。
「ごめんなハルちゃん。ただいま」
するとハルコは泣き止んで、笑顔で、俺に応える。
「おかえりなさい! ジュードさん!」
こうして……。
長かったダンジョン攻略は、これにて、無事終了したのだった。




