142.
俺たち元勇者パーティは、国内にできた歴史上類を見ない、巨大なダンジョンの最下層にいる。
そこで出現したガス状のボスと、戦うことになった。
「キャスコ、結界魔法で敵を囲め」
「……了解です! 神秘光結界!」
キャスコが光の結界を周囲に張る。
神秘光結界。
これはどんな敵も逃がさない、強力な結界術だ。
ガス状だろうとモンスターはモンスター。
この神秘光結界からは逃げられない。
俺はキャスコにとある指示を与えておく。
「キャリバー、オキシーはグスカスのフォローだ! 絶対に攻撃を与えさせるな!」
「「了解!」」
ふたりがグスカスの両脇に構える。
そして、黄金の剣を持つグスカスはというと……。
「グスカス、俺が指示する。そこに敵が出現してくる。おまえは……その破邪の剣で……」
ざんっ……!
グスカスが聖剣をふるうと、俺を見てにやっとわらう。
「おれはジューダスの指示で、敵をぶった切ればいいんだろ?」
……グスカス。
俺の指示を、言う前からちゃんと理解できるようになったんだな。
うん、本当に……おまえは成長したよ。
「みんな、いくぞ。俺たちならやれる……!」




