131.
ダンジョン、ボスの部屋の中を改めて注視する。
どこにでもある、広々としたボスの部屋。
部屋の中にはうっすらと、紫色の靄がかかっている以外、特段何かおかしなものがあるようには見えない。
……待てよ。
俺は見抜く目を発動させる。
注目するべきは、部屋を包んでいるガス……。
「! キャスコ! 風の魔法を!」
「真空刃!」
キャスコの四方から、風でできた丸鋸が発生して飛んでいく。
靄は風によって飛ばされて薄まる。
だがすぐに靄が集まり出す……やはりだ。
「キャスコ。敵の正体がわかった。あの、ガスだ」
「ガス……? 気体状のモンスター!」
「そのとおりだ。くそ……厄介なボスとあたっちまったな」
つまり、この部屋を満たすガスこそが、ダンジョンの主なのだ。
「このガスには精神へ作用する効能がある。この部屋に入って、ガスを長く吸ったやつは、ボスからの精神干渉を受けるのだろう」
「まじっすか! じゃ、じゃあどうすれば……」
「キャスコ。風の魔法で頭部を守ってもらえるか?」
彼女はうなずくと、すぐさま俺の要望に応えてくれる。
しゅうう……と俺たちの顔の周りに、風のヘルメットのようなものが出現。
これならガスを吸い込んでしまうことはない。
「つ、次はどうするっすか? ガスのモンスターってことは、実態がないでしょうし。倒しようがないっつーか……」
「いや、モンスターである以上、急所は存在する。それを俺がこの目を使って探し出す。オキシー、キャスコ。おまえたちはその間、敵の攻撃をふせいでくれ」
「て、敵の……攻撃? 精神攻撃ではなく?」
「ああ。搦め手が通用しないとわかったんだ。だから……」
しゅうぅううう……とガスが空中に固まり、一つの形をなす。
それは布をかぶった死神のような姿の、幽霊型モンスターだ。
「……つまり、弱点を見つけようとするジュードさんを、モンスターが邪魔しようと攻撃してくるから、それを我々で防ぐと?」
「そのとおりだ。頼むぜ二人とも」
「「はい!」」
【★☆★読者の皆様へ 大切なお知らせです★☆★】
新作投稿しました!
タイトルは、
『【連載版】俺だけステータスオープンできる件~はずれスキル【開】のせいで実家を追放されたが、ステータス確認できる俺はチートスキルもS級アイテムも選び放題で気づけば世界最強。俺を虐げた皆ねえ今どんな気分?』
ページ下部にもリンクを用意してありますので、ぜひぜひ読んでみてください!
リンクから飛べない場合は、以下のアドレスをコピーしてください。
https://book1.adouzi.eu.org/n9203ii/




