大事なことって人によって違いますよね?-2
「シエラ、お水持ってきたよーって…なんで今度はジェルマさんも顔色が悪くなってるんですか?」
ノックをして部屋に入ってきたキリルは、二人の死人のような表情に怪訝そうな顔をする。
「あー…うん。いや、まだ、いろいろ確定したわけじゃないしな。とりあえずは、まずは調査と対処だな」
こめかみをぐりぐりと押しながらジェルマが言う。
「そいつはすぐに対応するとして、だ。ところでシエラ。その新しく増えてるのは?」
キリルが持ってきてくれたお水を飲みほすと、シエラはあぁ、と答える。
「コーカスの配下のコッカトリスさんたちです。テイムしてないと街に入れないため、コーカスの指示により、私と従魔契約結んでます」
「…増えたのか……」
シエラの言葉に、ため息を漏らすジェルマ。キリルは大所帯になったね、と笑っていた。
「そうだ、ついでにこれ、もうお渡ししておきますね。コーカスとトーカスの能力査定の書類です。あと、コッカトリスの討伐推奨ランクですが、ランクアップを進言します。特に、ユニーク個体は今の推奨ランクでは絶対無理です」
ジェルマは、シエラに渡された書類にざっと目を通すと、眉間に深い皺を刻んだ。
「これ、マジか」
ひらひらと書類を動かすジェルマに、シエラはマジです。と答える。
「どうかしたんですか?」
キリルが不思議そうに首を傾げるので、ジェルマは持っていた書類を見てみろ、と渡した。
「……えぇ?これ…え、いや…嘘でしょ…??」
書いてある内容が信じられず、思わずシエラの方を見る。が、シエラはふるふると無言で顔を横に振った。
「コーカスとトーカスが特別なんだとは思うけど、でも、他の普通のコッカトリス達も、正直ヤバかったわ。ほんと、あの時敵対しなくてすんでよかったよ」
コーカス達との出会いである、卵泥棒事件を思い出しながら、遠い目をするシエラ。
「ランクの件も考え直すよう、上に話を上げておく。シエラ、悪いが、今手が空いてるBからAランクの冒険者がどれだけいるか、確認してきてくれないか?」
「お断りします」
ジェルマに言われて、シエラはきっぱりと言い放った。
「私、今日、お休みですけど?」
シエラの言葉に、ジェルマはそういえば、と、まるで今思い出したかのような顔でポン、と手を叩いた。
「…じゃ、新しく加わった仲間のコッカトリス達に関する、寮への申請に関しても、今日は受け取れないな」
ジェルマの言葉に、シエラはハッとする。
「今日は休みだから、申請、上げれないだろ?」
ニヤニヤと笑っていうジェルマに、シエラはクッと悔しそうな表情をする。
「…ちょっと待っててください、すぐに持ってくるんで!コーカス達はちょっとそこにいて!」
チッと大きく舌打ちすると、シエラは持っていたコップをダン、と机の上に置き、バタバタと部屋を出て行った。
「…冒険者のリストアップくらい、私の方でやりますよ?」
「いやー、あいつ、からかいがいがありすぎて、ついついなー」
残されたキリルが、呆れ顔になりながらジェルマをちらりと見て言うと、ジェルマは楽しそうに笑って答えた。




