能力査定-3
コーカスとトーカスそれぞれの魔法を一通り狩りをしながら確認し終えたところで、シエラ達は休憩をすることにした。陽も上り、もう時刻は昼近くなってきた頃合いかな、とシエラは肩をとんとんと叩きながら、近くにあった小川で、休憩ができそうな場所に腰をおろし、昼食をとることにした。
「はい、これ。二人には野菜の盛り合わせね。食べ終わったら、少しだけ森の中を探索して、街に帰ろう」
そう言って、マジックバッグから野菜を取り出し、二人の前に差し出すと、二人は勢いよく野菜を食べ始めた。
「私もちょっと食べとこう」
朝、厨房で握った握り飯を取り出して食べる。が、手にこれまで解体してきた魔物たちの血の臭いが染みついていて、若干、吐き気を催す。
「うぅー…、この臭いだけはほんと…どうにかならないもんかなぁ…」
対策として、フロッグ系の魔物の皮でできた手袋をして解体をすると、臭いが付きにくい、と言われているので、もちろんそれをつけて行っていた。だが、朝から何十体と解体をしていたシエラの手には、やはり臭いが染みついてしまっていた。
我慢をしてササっとご飯を口の中に放り込むと、手袋を小川でジャブジャブと洗う。
「解体師の人たち、この臭いのせいでモテないって、いっつも嘆いてるもんなぁ…」
同じギルドで働いている解体師たちだが、筋骨隆々の中々たくましい男性が多く、見た目もそう悪くはないのに、仕事終わりの後は、お風呂に入ってもその臭いがなかなか取れないこともあって、彼女に嫌われた、という愚痴をよく聞かされるのだ。
「そういえば、ギルドの受付嬢は、結構モテるって言われるけど…どこの都市伝説よ」
いまだにお付き合いすらしたことのないシエラは、小さくため息をつく。あの忙しさの中で、一体、どうやって男性と知り合い、そして、会う時間を作るんだ、と。
「…どうでもいいや。とりあえず、手袋も洗い終わったし、コーカス達の食事が終わるまで、そこらへんで乾かしておこ…」
顔を上げると小川をはさんだ向かい側で小さな狼の子供がぴちゃぴちゃと水を飲んでいた。
(か、可愛い…!!)
思わず顔が綻び、手に持っていた手袋を石の上にビチャっと落としてしまう。
音に気づいた子狼は、シエラの視線に気づくと、慌ててその場をかけ去っていった。
「あぁー…」
もうちょっと見ていたかったのに、と残念そうに子狼がいなくなった方を見つめていると、後ろから、どうした?とトーカスが声をかけてきた。
「…ううん、何でもないよ。おかわり、いる?」
シエラが聞くと、いただこうか、とバサバサと羽をはばたかせるトーカスに、苦笑しながら、シエラは野菜を追加でマジックバッグから取り出して、二人に出していった。




