コミュニケーションって大事ですよね-2
「…なぁ、シエラっていつもああなのか?」
シエラの姿が見えなくなったのを確認して、ぼそっと小さな声でエディが言う。
「…まぁ、そうだな。最初の頃はそうでもなかったはずなのだが…最近、我等の扱いが若干ひどい気がしないでもない」
コーカスがつつとエディの方に近づき、ひそひそと答える。
「俺らの方が絶対に強いはずなんだけどなー…なんでかシエラには勝てる気がしない」
トーカスが呟くと、コーカスは小さく頷いた。
「女はいつの時代でもこえーってことですかね?」
ニュークが呟くと、トーカスが思い出したように言う。
「この間も、ギルドマスターであるジェルマが、シエラにしこたま怒られてたな。確か、酒を飲んで遅刻するくらいなら、最初からギルドに泊まってろ、とかなんとか」
「え、ギルドマスターってことは上司でしょう?すごいね、シエラちゃん」
ハルが関心したように言う。
「普段はそうでもないんだが…なぜか時々、シエラには頭が上がらなくなるのだ」
コーカスが唸る。
「最初の方こそ、俺らがコッカトリスだからって丁寧に扱ってくれてたけど…あぁ、そうだ。あいつの部屋で出された餌を食べ散らかしたとき、すっげー怒られたんだよなー。なんか、あれ以来、扱いが徐々に雑になってきてる気がする」
トーカスが言うと、コーカスが確かに、と頷いた。
「いや、食べ散らかすのはだめでしょう」
「何言ってんだ、ハル。コーカスもトーカスも、コッカトリスだぞ?そもそも人間じゃないんだ。普通に考えて、これまで綺麗にとか、汚さずにとかって考えながら食べてるわけないだろ?」
エディが言うと、ハルはそうか、と苦笑した。
「コーカスもトーカスも、なんか人間みたいなんだよなー。なんか、気づいたら普通に喋ってるけど、全然違和感がねぇ」
ニュークが言うと、コーカスがふん、と鼻を鳴らした。
「我等を舐めるなよ?そこらの魔物なんぞより、よっぽど知性が高いからな」
得意げに言うコーカスを見て、エディ達が笑う。
「そうだ、ちゃんと自己紹介ができてなかった。すまない。俺はエディ。エディ・ボルトンだ。エディと呼んでくれ。こっちは護衛のニュークとハルだ」
「「よろしく」」
「では、我等もきちんと自己紹介をしようか。我はコーカス。この辺りのコッカトリスの長だ。こっちは息子のトーカスだ、よろしくな」
「よろしくな」
和気あいあいと楽しそうにお喋りをしている3人と2羽。
「…え、ちょっと待って。この短時間で何があったの」
変な感じになってたらまずいと思い、大急ぎで書類の片付けと裏口の戸締りの確認をし、マッハで着替えを終えて戻ってきたシエラは、逆に彼らに声がかけられず、少しの間、その場に立ちすくんでいたのだった。




