教官は鶏でした-14
「だいぶ慣れてきたようだな」
「はい、師匠!」
いつの間にか、コーカスのことを師匠と呼ぶようになったスミレ。初討伐後も、数匹のウッドアントを見つけ、それらを難なく討伐を成功させていった。魔石と鎌を複数手に入れたスミレは、自信もつき、ご機嫌だった。
「あ!気付けタケ!すみません、あれ、採取してもいいですか?」
「うむ、スミレの好きなようにするといい」
「ありがとうございます!ちょっととってきます!」
気付けタケは気付け薬の素材の一つで、これ1つで銅貨50枚になる。スミレはさっそく、気付けタケを木からもぎ取っていくと、それらをバッグへと入れる。
(やった!気付けタケが4つも取れた!初めての森の探索なのに、採取までできるなんて!ついてる!!)
思わず顔がほころぶスミレ。
「おい、スミレ!」
「え?」
それと同時に、トーカスがスミレの背中をドン、と押してきた。思わずバランスを崩し、地面に倒れ込む。それと同時に、シュッと白い糸のようなものが木に向かって伸びたのが見えた。
「ぼーっとするな!ここは森の中だぞ!」
トーカスに言われてハッとする。
「フォレストスパイダー…!」
森に生息する魔物の一種で、討伐推奨ランクはFランク。初心者冒険者向けと言われる魔物で、大した攻撃力はないが、吐き出す糸に捕まると、一人では抜け出せなくなるため、ソロの場合は注意が必要な魔物である。
慌てて起き上がり、腰に下げていた短剣を手に取り構える。
(大丈夫、大丈夫!)
大きな音でバクバクと脈打つ心臓。スミレは必死に、自分を落ち着かせようとする。
「はぁ!」
足の裏に思い切り力を込め、一気に距離を詰める。
(ここだ!)
射程距離に入るまではほんの一瞬で、構えていた短剣を大きく振りかぶって切りつけた。だが、フォレストスパイダーはバックステップでそれをかわし、糸をスミレに向かって吐きつける。
「しまっ!」
フォレストスパイダーの吐いた糸が、スミレの短剣をとらえる。
「は、なれな…!」
フォレストスパイダーは吐いた糸をシュルシュルと一気に巻き取る。その力は想像以上に強く、スミレはそのまま、短剣を奪われてしまう。
(ど、どうしよう、武器がっ!
どうやって倒せば…!)
焦りで目の前が真っ白になるスミレは、一瞬、動きが止まる。フォレストスパイダーはその隙を見逃さず、スミレに飛び掛かった。
「ケェー!!!!!!」
コーカスは雄たけびを上げるとともに、羽を硬質化させ、思いきり水平に薙ぎ、真空の刃を飛ばした。その刃は、そのままフォレストスパイダーを真っ二つにして霧散する。
フォレストスパイダーの血が、スミレの顔に当たり、そのままべちゃっと切り離された体は、地面に落ちた。




