教官は鶏でした-11
今日も今日とて、他の人に見つからないように、シエラは二人を連れて、朝早くに寮を出て、ギルドへと向かった。
「はぁ…早く許可が下りるといいんだけど」
寮で魔獣を飼う許可を、現在中央ギルドに申請しているところなのだが、基本的にはこう言った申請関連の最終承認が下りるまでには1週間くらいかかる。
「急ぎでジェルマさんにはお願いしてるけど、いつ許可が下りることやら…」
着替えを終えて、カウンター周りの片付けをし、ギルド内の掃除をしていると、オーリが出勤してきた。
「あ、姐さん、おはようございます!今日もコーカスさんとトーカスさん、良い毛艶ですね!」
「オーリ、おはよう。ていうか、その姐さんっての、ほんとやめて…」
何度言ってもやめないオーリに、シエラは半ば諦めつつ言う。
「それは無理です!だって、姐さんは姐さんなんで!」
「なによ、その理屈は…」
はぁ、と特大のため息をつきながら、シエラはギルドの入り口のカギを開けた。
「今日こそは、残業なしで上がりたい…」
小さく呟きながら、カウンターへ戻り、シエラは入ってきた冒険者たちに、笑顔を向けた。
「それじゃこれ、コーカス様とトーカス様のテイム委託証明書ね」
受付にやってきたスミレに、銀色のネームプレートを渡す。そこには、トーカスとコーカスの名前が刻まれており、裏返すと、シエラの名前が刻まれている。
基本的にテイムされた魔獣は、主人から離れて行動はできないようになっているのだが、従魔の知能が高い場合、一時的に主人の権限を別の人間に移すことができる。その場合、従魔自身に取り付ける認識票のほかに、従魔の名前と、本来の主人の名前が書かれたプレートを所持する必要があり、そのプレートなしに従魔を連れていることが分かった場合、罰金が科せられる。
「なくさないように、首から下げておいてね?」
「はい」
「今日は、特に依頼は受けずに、まずは森に入ってみて、様子を見る感じかな?」
シエラが聞くと、こくり、とスミレは頷いた。
「初めてなので、正直、下手に依頼を受けてしまったら、失敗してしまう可能性もあるので」
「うんうん、慎重なのはいいことだよ。それじゃ、頑張ってね。コーカス様とトーカス様も、気を付けて」
「うむ」
「行ってくる」
「行ってきます」
「はい、いってらっしゃい!」
シエラは、スミレたちを見送ると、次の冒険者の受付を始め、残業をしないで済むよう、せっせと仕事に励んだ。




