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教官は鶏でした-10

「よし、誰もいない…!」


シエラは寮の入り口からそっと中を覗き込み、廊下に人がいないことを確認すると、急いで中に入り、部屋まで走った。


「ふぅ、何とか今日もばれずに済んだ…」


部屋につくと、コーカス達が野菜を出せとうるさかったので、バッグの中に入っていた、マイスと青色空豆を取り出して、机の上に置いた。


「それじゃ、私も夕食をもらってくるから、静かに、先に食べててください」


「おい、トーカス!そのマイスは我のものだぞ」

「父上、世の中弱肉強食です。うかうかしているほうが悪いのです」

「なんだと!?」


「し・ず・か・に!食べててね?」


二匹の首根っこをつかみ、にっこりと笑っていうシエラに、コーカス達は無言でこくこくと頷いた。


「とりあえず、今後どうするのか、話し合いましょうか」


食堂で握ってもらったおにぎりを頬張りながら、シエラが言う。


「今後?」


コーカスがマイスを突くのをやめて、首を傾げた。


「今後です。そもそも、いつまで街にいるつもりなんですか?いつかは森に帰るんですよね?」


シエラが聞くと、トーカスが今度は首を傾げた。


「なぜ森に戻る?」


「え?」


その言葉に、シエラ眉をひそめた。


「街にマイスが売られているのであれば、街にいるべきだろう?」


「そうだな、それに、今後はスミレの面倒も見るのであろう?であれば、ギルドにて我らも常駐していた方がいいのではないか?」


「常駐とか…よくご存じですね…」


頬を引くつかせながら、シエラが言う。


「まぁ…森に戻る気がなさそうだな、とは思ってましたけど…ていうか、他のコッカトリスさんたちはどうするんですか?偵察から戻ってきたときにお二人がいなかったら困るんじゃないですか?」


シエラが聞くと、心配ない、とコーカスが答えた。


「それより、俺らはどのくらい稼いでくればいいんだ?」


トーカスに聞かれて、シエラはうーん、考える。


「そうですね…正直、お二人がこのまま一緒に生活することを考えると、大容量・高性能のマジックバッグが欲しいところなんですよね。私の寮の部屋に大量の野菜を置いておくにしても限界がありますし、何より最近、時間が経過しないっていう高性能タイプも出てきてるみたいなんで、できればそれを持っておきたい」


いつまでも、ギルドのマジックバッグを借りたままではいられない。このまま二人がシエラのもとで居候をするとなるのであれば、必然的に、個人所有のマジックバッグを入手する必要がある。


「ただ、高いんですよねー、マジックバッグ…」


「いくらだ?」


コーカスに聞かれて、シエラはうーん、と唸る。


「ギルドに回ってきてたカタログに載ってた一番小さいやつだと、確か大銀貨1枚分ですね。一番大きいのは金貨3枚もしたんで、さすがにそれは無理…」


「それだけ稼ぐには何を狩ればいい?」


トーカスに聞かれて、シエラは唸る。


「えぇ?大銀貨1枚とかそう簡単には無理ですけど…そうですねー、あ、トレントなら1本倒したら、大銀貨1枚になりますねー。擬態が見破れないことが多くて中々見つけられないので、素材として高価取引されてますから。今の相場が確か1本で大銀貨1枚だったはず」


でも、奥の方へ行かないと狩れない魔物なので、正直、現実的ではない。


「あとはー…あ、フレイムウルフの毛皮なんかは割と人気があるので、丸々2匹分くらい持ち込んでもらえれば、大銀貨1枚くらいにはなると思います」


割と遭遇しやすい魔物ではあるので、まだトレントよりは現実的かな?と答える。


「今度、私のお休みが4日後なので、その時までに、他に依頼含めていいものがないか調べておきますね」


シエラが言うと、頼んだ、と頷き、トーカスはマイスをまた食べ始めた。

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