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教官は鶏でした-9

「はい、ではこれが受領書です。お疲れ様でした。また、お願いしますね。次の方…あ、スミレちゃん!」


「シエラさん、戻りました」


「お帰りなさい。どうだった?」


スミレの嬉しそうな笑顔を見て、シエラはうんうん、と頷いた。


「良い買い物ができました!そうだ、シエラさん、これ。中に野菜が入ってるので、確認してもらってもいいですか?」


「はい、それじゃ確認するね…あれ?なんか色々入ってるけど…スミレちゃんの防具とかは??」


マジックバッグの中を確認すると、野菜にポーション、傷薬にコップ、火打石や野営用の寝袋等々、いろいろなものが入っていたが、肝心のスミレの防具や武器らしきものが見当たらなかった。スミレが装備しているわけでもなかったので、不思議に思ってシエラが聞くと、ギルドに戻る前に、いったん自分の部屋に置いてきた、と、スミレは答えた。


「そっか、そうだね。今日これから森に行くわけじゃないもんね。…ん?じゃ、このポーションとかは??スミレちゃんのじゃないの?」


お願いしていたのはコーカス達のご飯になる野菜だったはず。スミレの荷物をすでに置いてきたのであれば、このポーション類は一体誰のもの?と頭に?が飛び交うシエラ。


「それが、実は…」


スミレの話によると、行きつけの八百屋に行ったところ、ちょうど、近くの屋台で冒険者同士の揉め事が起こっていたらしい。スミレでは止めることはもちろん無理で、どうしようかと思っていたところ、揉め事が大きくなり、殴り合いが始まり、近くの店に倒れこんだりと、被害が起こり始めたとき、見かねたコーカス達が冒険者をのし、被害が最小限に食い止められ、そのお礼にと、周囲のお店から、いろいろなものを渡された、ということだった。


「それで、こんなにいろいろあるのね…」


とはいえ、正直なところ、シエラにはほぼ不要なものばかりだった。


「んー、これ、野菜以外はスミレちゃんがもらってくれないかな??」


「え!?いいんですか!?」


スミレとしては、正直、ポーションなどの消耗品や野営グッズなどは、これからそろえていかないといけないものではあったので、とてもありがたい申し出だった。


「私はほら、ただの受付嬢だから。野営グッズとか、正直あっても使わないし、ポーションや傷薬なんかも使う機会はめったにないから、たぶん、劣化させちゃうし」


薬関係はもちろん長持ちするが、それでも、数か月もすれば、もちろん劣化が始まるし、長く放置すればするほど、効果は薄くなり、液体ポーションなんかは傷んだりもしてくる。


「それなら、スミレちゃんの方が、必要だと思うし。使う人が持ってたほうがいいと思うんだよね。それに、そもそもその現場に私はいなかったわけだし。コーカス様もトーカス様も、それ、使わないしね」


確かに、とスミレはコーカス達が寝袋に入っているところを想像して、苦笑する。


「だから、これはスミレちゃんがもらって?」


シエラの言葉に、スミレはありがとうございます、とお辞儀した。


「明日はさっそく、森に行くの?」


バッグから野菜以外のものを取り出して、別のバッグに詰めながらシエラが聞くと、スミレははい、と頷いた。


「了解です。それじゃ、また明日」


「はい、また明日、お願いします」


スミレは手を振りながら、ギルドを後にした。

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