家族ができました‐6
「では、シエラが我らを使役すればいいんだな?」
こともなげに言うトーカスに、シエラは目を見開いた。
「いやいやいや!私、テイムの魔法なんて使えませんよ!?」
慌てて首をぶるぶると振るシエラに、首を傾げるコーカス。
「使えなくとも問題はないぞ?ほれ」
コーカスはそういうと、軽く左の翼を持ち上げる。すると、コーカスの体が光り、そのままその光がシエラの手の甲に吸い込まれていった。
「では、俺も」
今度は肩に乗っていたトーカスの体が光り、同じように、そのままその光がシエラの手の甲に吸い込まれていった。
「ふむ、これで契約は成立したぞ?」
そんな馬鹿な、と慌てて2匹を鑑定する。
すると、テイム:シエラとどちらにも表示が出ていた。
「う、嘘…なんで?どうなってるの??」
シエラが聞いたテイムの仕方は、基本的に、魔獣や魔物に対し、まずは契約の印を飛ばし、飛ばした相手に自分を認めさせることができれば、テイム成功となり、使役することができるようになる、というものだった。魔獣毎に契約の印は異なり、強い者になればなるほど、それなりのレベルが要求され、印も複雑になり、さらに、相手の知性が高ければ高いほど、成功率が下がる、とも言われていた。
「どうなってるもなにも。我らが仕えてもよい、と思ったからだが?」
何の問題があるんだ?と言わんばかりのコーカスの言葉に、ジェルマはハッとする。
「まさか…そういうことか…」
「ジェルマさん?私、わからないんですけど!?」
混乱した表情のシエラに、ジェルマはたぶんだが、と口を開く。
「通常はこちらから印を飛ばすことから始まるが、そもそもそれは、相手と意思疎通が図れないからだ。印を飛ばし、こちらから使役をしたいという意思を飛ばし、相手が了承することで、初めてテイムは成功する。だが、もともと相手が了承している状態であれば、、最初からテイムが成功しているのと同じ状態になる。だから、印やスキルがなくても、テイムの契約ができてしまったということじゃないか?」
ちらり、とコーカスを見ると、コーカスはそんなところだ、と頷いた。
「シエラの騎士に、俺はなる」
(たぶん)ものすごくきりっとした表情を浮かべるトーカスに、何言ってんだ、こいつ、という顔になるシエラ。
「いや、必要ないんで」
きっぱりと断るシエラに、トーカスはなんでだよ!とコツコツと頭をつついてくる。
「ちょ、いた…痛い、痛い!やめ、ちょ、やめて!ごめん、ごめんて!嬉しい、嬉しいですから!」
思いのほか痛かったので、思わずシエラはトーカスに謝る。
「全く。人の好意は素直に受け取れ」
(いや、あんた鶏だから)
喉まで出かかった言葉を、シエラはグッと飲み込んだ。




