家族ができました‐3
「……ラ、…エラ、……起きて、シエラ!」
「は、はい!?」
体を揺さぶられ、シエラは目を覚ます。
見覚えのないベッドに、一瞬、首を傾げるが、仮眠室でベッドに倒れこんだことを思い出し、そこが自室ではないことに気づく。
まだ頭がぼんやりするので、軽く頭を叩き、意識を活性化させようと何度か目をぎゅっとつむったり、あけたりした。
「大丈夫!?生きてる!?」
体を起こして声の主を見る。
「大丈夫、生きてるよ。ちょっと、まだ眠いけど…。今、何時?」
目頭をつまみ、軽く揉みながら聞く。
「今はまだ6時半よ」
「は、早い……」
ゲートをくぐるときには、うっすらと空が白んでいた。この時期で考えれば、たぶん、時刻はまだ6時前くらいだろう。とはいえ、1時間も睡眠がとれたかどうか、少し怪しい。
「多少は寝れたから、まだマシかな。私がここにいること、ジェルマさんにでも聞いたの?」
「うん。今日はみんな、6時には集合するよう言われてたからね。たまたま一番乗りだったんだけど、ジェルマさんに、シエラに地図更新してもらって来いって言われたから」
「わ、私、昨日から全然寝れてないのに…人使いが荒すぎる…」
両手で顔を覆うシエラ。
「取り合えず、7時には冒険者の人たちに出発してもらうことになってるから、それまでに地図の更新と、複製をしないといけないのよ」
「…わかった。着替えたらすぐに行くから、先にカウンターで地図と複製用の紙、用意してもらっててもいいかな?ルー」
時間があまりないこともあり、シエラは諦めて、両手を上に伸ばし、大きく伸びをした。
「さすがに、昨日のこの格好のままじゃまずいし、着替えないとね…」
そういってボロボロになっている制服を姿見の前で見て、はぁとため息をついた時だった。
「………え?」
(…い、今、見えたのって……)
ギギギギ、とまるで油の切れたブリキ人形のように、ゆっくりと首を後ろに回す。
そこには、すやすやと眠っている、白銀の鶏と漆黒の鶏の姿があった。
「ななな!?!?!?!?」
驚きのあまり、思わず床に倒れこむ。
「な、なんでコーカス様とトーカス様がここにいるの!?」
叫ぶシエラ。その声に、コーカスとトーカスが首を上げ、目を覚ます。
「何事だ?」
どうした、とコーカスが声をかける。
「何事はこっちのセリフです!な、なんでお二人がここにいるんですか!!」
シエラが叫ぶと、トーカスがきょとんした声で答える。
「報酬をもらわなくてはならないからに決まっているだろう。それに、できれば報酬の野菜は自分で選びたいしな」
「は!??」
「我はトーカスがお主についてゲートをくぐっていってしまったのでな。おもし…ゲフン!心配でついてきただけだ」
「今、面白そうとか、言いかけませんでしたか…?」
ゴゴゴゴゴ、という効果音が聞こえてきそうな雰囲気で、わなわなと震えているシエラ。
「とにかく、急いで先ほどの娘の所に行かなくていいのか?」
こほん、と咳ばらいを一つして言うトーカス。その言葉に、シエラはハッとする。
「そうだった…とにかく、お二人ともここにいてくださいね?後で戻ってきますから。いいですね!?」
そう言い残して、シエラは仮眠室を出ると、急いで更衣室で替えの制服に着替えて、受付カウンターへと向かった。




