家族ができました‐1
「ひとつ、お願いがあるんですが」
満足そうに、残っていたマイスを食べているコーカス達に、シエラは少し、言いにくそうに口を開いた。
「ゲートがあった、元の場所まで、また、連れて行ってもらえないでしょうか?…できれば、行きよりスピードを落として」
また、行きのようなスピードで帰られては困る(今度こそ死ねる)ので、ちょっと図々しすぎるだろう、という自覚はしつつ、ゆっくりと連れて帰ってほしいというお願いを2匹にしてみた。
正直なところ、断られる覚悟でのお願いであった。
「かまわんが?」
「そうですよね、ダメで…え?ほんとですか!?」
トーカスの答えに、思わず涙目になるシエラ。
「た、助かりますー!!」
マイスを食べている最中のトーカスに、思わず抱きつく。
「お、おい!」
突然抱き着いてきたシエラに驚くトーカス。
「もう、正直歩いて帰るとか、考えられなくて。最悪、ここで死体の処理をしながら、冒険者の方たちを待つことも覚悟してたので、嬉しいですー!ほんとに、ありがとうございますー!!」
えぐえぐ、と泣きながらシエラは何度もお礼を言う。トーカスが了承をしてくれたのは、シエラにとって僥倖だった。
「ならば、戻るか?」
ケフ、と小さく息を吐くコーカス。
「え?あ、もう食べ終わったんですね」
粒がなくなったマイスの残骸に、シエラは、相変わらず食べるの早いな、と感心する。
「行くぞ、ちょうど、我も街とやらに行ってみたかったところだ」
コーカスの言葉に、シエラはえ?と首を傾げた。
「ほれ、しっかりしがみついておけよ」
また、ひょいっと襟首をつかまれて、そのままトーカスの背中にぽん、と乗せられる。
「ちょ、ま」
シエラが言うよりも先に、トーカスがドン、と地面を蹴った。同時に、コーカスも力強く地面を蹴る。
(い、行きとスピード全然変わらないじゃないー!!!!)
ゆっくりとお願いしたのに、鳥頭の2匹は相変わらずの爆速で森を駆け抜けていく。
シエラはもうろうとする意識の中、とにかく、振り落とされないようにと必死でトーカスにしがみついてた。




