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鳥さん、お仕事の時間です‐9

トーカスとゴブリンキングの攻防は、お互いに一進一退を繰り返していた。

ちらりとコーカスの方を見てみるが、特に心配した様子もなく、何ならあくびの一つも浮かべたりしていて、トーカスに加勢するそぶりも全くない。


「トーカス様、大丈夫ですかね?」


やきもきしながらシエラが聞くと、コーカスはため息をつきながら、当たり前だろう、と答えた。


「トーカスに足らぬのは経験だけだ。産まれて間もないというのに、すでにあのレベルの雷を使えるのだ。才能も有り、力もある。だが、経験に関しては、ひたすらに、狩りを続け、積んでいくしかない。ほれ、見てみろ」


「え?」


コーカスの言葉に、視線をトーカスへと戻す。

すると、先ほどまでは互角の状態に見えていたトーカスとキングだが、徐々にキングが押され始めているように見えた。


「そもそも、ゴブリンキングとはいえ、しょせんはゴブリンの進化種だ。脆弱な人間ならまだしも、我等コッカトリスの敵ではない。トーカスに経験を積ませるには、ちょうどよい相手だったがな」


くくく、と笑うコーカス。


「そ、そういうものなんですか?」


そもそも、人間の定義で行けば、コッカトリスもゴブリンキングも、どちらも脅威には違いなかった。なんなら、激高状態でない通常のコッカトリスよりも、ゴブリンキングはその存在が認識された時点で、イコール、大量のゴブリンの存在もあることになる分、コッカトリスよりも脅威度としては高い位置づけになっている。


「やつに関していえば、多少、皮が硬くなって攻撃が通りにくいことと、一撃が重くなることくらいだな。それ以外、今回みたいにやつ単体になってしまえば、どうということはない。面倒なのは、あれと一緒に、メイジの魔法攻撃や、アーチャーの遠距離攻撃、ナイトとの連携攻撃があった場合だ。まぁ、それに関しても、トーカスであれば、何度か(やりあ)えば、どうということも無くなる」


ふん、と得意げに答えるコーカスに、シエラは顔をひきつらせた。


(…激高状態じゃないコッカトリスの討伐推奨ランク。あれ、ちょっと見直したほうがいいかもしれないわ)


現在、各魔物には、ギルドがそれぞれ、討伐推奨ランクというものを定めていて、基本的には、その推奨ランク以上で討伐依頼は受けることが薦められている。この推奨ランクというのは一種の目安であり、身の丈に合わない魔物の討伐を行うことで、死亡してしまう冒険者の数を減らすのが目的であった。

現在、ギルドの定めるコッカトリス通常状態については、Bランクが推奨ランクとなっているのだが。


「ぐおぉぉぉー……」


ドシュ、という大きな音とともに、体に大きな穴が開き、絶命し、倒れた、ギルドの討伐推奨ランクがAランクのゴブリンキング。


「ふ、つまらぬものを切ってしまった」


そういって、嘴についた血をピッピッと払うトーカスの姿が、そこにはあった。


「いや、切ってないしね…」


よくわからないセリフを吐くトーカスに、思わず突っ込みを入れるシエラは、その戦闘結果に、コッカトリスの推奨ランクのアップを、戻ったら申請しようと心に決めた。

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