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鳥さん、お仕事の時間です‐7

「…なんだか、静かになりましたね」


しばらく歩いていると、先ほどまでとはうってかわって、急にゴブリン達の襲撃がなくなった。

途切れることなく続いてたゴブリン達の姿がなくなったことに、違和感を覚えたシエラは、少し意識を集中して、索敵スキルを発動する。


「これ、は……」


そこから少し先に進んだ先に、大量の敵の反応があった。周囲はすでに暗くなっていて気づいていなかったのだが、その反応のあたりに、うっすらと、何か建物のようなものが見えたのだ。


「まさか、砦まで作ってるなんて」


今度は、その砦に集中して、もう一度索敵スキルを発動する。幸い、人と思しき反応は、そこからは感じられない。小さく、良かった、と呟いた。


ゴブリン達はよく、人里から、女性や子供を攫って行く。それは、ゴブリン達の繁殖のためであったり、狩りの練習のためであったり、また、ただの娯楽のためであったり。理由は様々であるといわれているが、とにかく、そうしたことを未然に防ぐために、ゴブリンの目撃情報があれば、討伐依頼は即座に出されていた。そのため、当然、ゴブリンの数が増えれば目撃情報も増えるので、その分、討伐依頼の数も自然と増える。


(…今回、そのゴブリン討伐依頼は特に増えている形跡はなかった。だから、ここまでの集落ができていることに、気づくことができなかったってことだもの)


人と思しき反応がない、というのも頷けることだった。


もし、ここに、人の反応があったとしたら。


そんな想像をして、シエラはひゅっと喉が鳴った。今自分が一緒にいるのは冒険者ではなく、魔獣だ。あの中に、人の反応があったとしても、彼らにその救出を受け入れてもらえはしなかっただろう。

なぜなら、単純に彼らは、ゴブリンを狩りに来ているだけなのだ。

シエラの依頼を受けている、という体をとってはいるが、それはただ、利害が一致しているからに過ぎない。そんな彼らが救出をしてくれるとは思えない。

そして、シエラもただの受付嬢だ。戦闘能力なんて一般人に毛が生えたようなもの。自分でなんとか救出など、命を捨てる覚悟であったとしても、確実に無理であることは、考えなくてもわかっていた。


(…まぁ、一緒にいるのが冒険者(ひと)だったとしても。きっと、救出はできないだろうし…)


最悪の状況で判断を強いられることにならなかっただけでも、良かったと。正直、自分がその判断ができたかどうか、そしてその判断を受け入れられたかどうか。

フルフルと頭を振って、今はそんな、タラレバを想像することに、何の意味もない、と思考を切り替える。


「反応の数からして、今までとほぼ変わらない数がいるようですね」


シエラが言うと、ほう、と小さくコーカスが感嘆の声を漏らした。


「なかなかの索敵能力だな。人にしては鋭いのではないのか?」


言われて、シエラは苦笑した。


「一応、レベルだけは高いんです。冒険者ではないので、常時展開とか、そういうのは無理なんですが、集中すれば、ある程度のことは把握できます。ま、凡人に毛が生えた程度ですよ」


(ジェルマさんなら、このくらい、常時展開で街全域余裕で索敵できるはずだし、私のこれなんて、たかが知れてると思うんだけどな)


なんてことを思いながら答える。


「ふむ、人の索敵能力も、存外侮れんな」


コーカスの言葉に、シエラはそうですか?と首を傾げた。

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