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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
5章 みんなの日常生活
95/300

No.95 原因

俺は木々が生い茂る森の中を歩いていた。

昨日、俺が放った暴風に薙ぎ倒されたいくつもの木が倒れていた。

咄嗟の事とはいえ、自然を傷付けてしまった事に幾らかの罪悪感を覚えた。


やがて、森を抜けると見覚えのある景色が見えてきた。


「成る程、ここに出るのか。案外、神社から近かったんだな」


そこから歩いて行くと、程なくして村長さんの家が見えてきた。


「殆ど元通りになってんな」


瓦礫等が撤去され、以前の村長さんの家の姿を無事に取り戻していた。


「ごめんくださーい、蓮斗です!」


すぐに扉が開き、中からビナが出てきた。


「あ、レン君いらっしゃい♪ どうぞ中に入って!」


「お邪魔します。あれ、村長さんは?」


「おじいちゃんなら2階でレン君と何か話してるよ」


「じいちゃんと…?」


中に入ると、ソファーに駿が座っていた。


「なんだ駿か」


「えー、何その反応!? こっちはお前の心配してたのに! 涙出てくるわ!」


「冗談だよ。体の調子はどうだ?」


「まぁ俺は特に…。お前のじいさんもピンピンしてるぜ。今日なんか朝から復興の手伝いしてた位だし…」


「そっか、元気そうで良かった」


「そういう蓮斗は大丈夫だったのかよ? 村長さんから聞いたけど、ユウさんだっけ?その人の家で看病されてたって…」


「まぁ多少身体中痛みはあるけど、別に支障は無い。夜には動けるようになってたし」


「その割には昨日、こっちに来なかったけど…」


「それが今度はユウさんが過労で倒れちゃってさ。俺が看病する事になっちゃって…」


「だ、大丈夫だったのかよ?」


「もう大丈夫だよ。朝も朝食を食べてたし」


「そっか、なら良いけどさ。それにしても俺達、一体どうしちゃったのかな? そもそも帰れるの俺達…」


「その話を今2階でしてんじゃないのか?」


話をすれば、村長さんとじいちゃんが2階から降りてきた。


「いやー、あん時のクソジジイには驚いたよな! ホントに殺されんじゃねーかと思ったぜ」


「ははは、そんなこともあったね! しばらくトラウマだったよ」


何やら深刻さの欠片も感じられない会話をしながら、二人はリビングにやって来た。


「おう、蓮斗来てたのか」


「今来たとこ。っていうか、二人とも何の話してんだよ」


「昔この村に居た、カミダレってじいさんの家に生魚放り込んだ時の話」


「いや、ホントに何の話!?」


それから、4人で集まっての話が始まった。


「ふーん、何度聞いても不可思議な話だね」


「まぁな。俺達にも何も分からないってのが正直な所だな。なんで急にあんなもんが発生したのかも分からねぇ」


「何か切っ掛けがあるはずだけど…。じいちゃんと駿が神社に行ったときは、特に異変とかはなかったんだろ?」


「あぁ、色々調べては見たが、これと言って手掛りは無かった。強いて言えば…」


「何かあったの?」


「社の裏っ側にエロ本が落ちてた。あいつは上物だぜ」


「おい、ジジイ暫く黙ってろ」


「なんだと! お前にはあのエロ本が放つ無限の可能性が理解できねぇのか?」


「いや、そもそも俺見てねぇから知らねぇし、何の可能性の話してんだよ! 俺は帰る可能性のある事を知りたいの!」


「んだよ…」


それから沈黙が続いた。

何も分からないから、当然と言えば当然だが、このままだとジジイがエロ本見つけた話で終わってしまうので、それだけはなんとか避けなければ…。


「イクタ村で、例えば人が消えちゃったりとかってありました?」


「うーん…聞いてないな…」


「そうですか…」


「ただ…」


「?」


「村の人間ではないんだけど、君達が前回、そっちの世界に戻った直後、キツネの様な生き物2匹が歩いていて、それが忽然と消えてしまったというのは聞いたよ」


「2匹のキツネ…」


一瞬で察しがついた。

絶対キロとテンの事だ…。

俺達と一緒に神社を通って、俺達の世界に来たと思ってたけど、アイツらも空間の歪みに巻き込まれて来たのか…。

通りで俺達が戻った時に、あの場に居なかったわけだ…。


「どうした蓮斗?」


「あ、いや、何でもない…」


駿にはまだ二人の正体は言ってないから、黙っとこう。

別に言っちゃ駄目なもんでも無いんだろうが、今の駿の脳内容量は空きが無いだろうし、混乱させるだけだ。


「じゃあその空間の歪みみてぇなのに巻き込まれたのは、あいつらと俺達だけって事か」


「ん? なんだリンタロウ、そのキツネ達を知ってるのかい?」


「まぁ今うちで預かってるからな。えーと、アイツらなに族っつっけ?」


「あぁ、泉狐族ね」


「せ、泉狐族…!?」


「あ、やっぱり村長さんも知ってるんですね。そんなに有名なんですか?」


「成る程…そうか、そういう事か…」


村長さんは一人納得した様な顔をした。


「なんだ、ロジ、何が分かったんだよ」


「分かったよ…空間の歪みの原因が」


「え、本当ですか?」


「恐らく、空間の歪みの原因は…その二人の泉狐族だ」


「アイツらが…!?」

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