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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
4章 ふたりの冒険生活
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No.59 ガラ

「ユウ…後ろにいるのは…?」


その男は不審そうにこちらを見ている。

どうやら警戒されているようだ。


「こいつらはまぁなんつーか、成り行きで仲良くなったっていうか…。あたしが借金取りに追われている所を助けてもらったんだ! このにーちゃんがレン、ねーちゃんの方がスーだ」


「そこは助けちゃって良かったわけ? 借りた金は返そうよ…。っていうか、なんで借金なんかしてるの? 仕事は?」


「し、仕事は諸事情でクビになった。借金はその…プリンを買うために…」


「君はどこまでバカなの?」


「仕方ねぇだろ! プリンだぞ!?」


「いや、仕方ない訳無いだろ。ったく君の母さんは泣いてるぞ」


「そ、それは…」


それ以上、ユウさんは何も言えなくなってしまった。

自業自得とはいえ、今日は色んな人に怒られてて、若干気の毒だった。


「まぁ良いや、今日は一体全体何の目的で来たんだい?」


「あぁ、そうだった! 実はこいつらが轟孤の連中を追っててよ。それでガラから何か話が聞けねぇかなって事で、ここに連れてきたんだ」


「轟孤を追ってる…?」


「お前をどうこうしようって話じゃねぇんだ。単純に轟孤に関して何か手掛かりが欲しいってだけだ」


「別に良いけど…。君達の役に立てるかどうかは分からないよ? 抜けてからだいぶ経つし、内部の事情もかなり変わってるだろうし」


「いえ、お話聞けるだけでも助かります」


「君はレン君って言ったかな? どうせレンってのもユウが勝手に呼んでるんだろ?」


「あ、はい、ホントは蓮斗って言います」


「良いだろう? その方が呼びやすいし!」


「まぁいいや。で、君達はどんな事が聞きたいんだい?」


改めて何が聞きたいのかと言われると、少し困るな。

そもそもこの人がどこまでの情報を知っているのかも分からないし…。


「あの…ガラさんは轟孤の総リーダーの事は御存知ですか?」


意外にもスーナがやや食い気味に質問を投げ掛けた。


「ふふ、いきなりそこを聞くんだね」


男は若干の苦笑いを浮かべた。


「答えは、ノーだ。僕の様な末端のメンバーはグループのリーダーにすら殆ど会ったことがない。総リーダーなんて尚更だ。まぁホントに実在するのかも分からないけどね」


「グループリーダーって言うと、アルフって名前の…」


「そう。彼は滅多に団員に姿を見せないからね。どこで何をしているのかもよく分からない。生きてるか死んでるのかもね」


「え、じゃあ命令とかは誰から…?」


「実際の指示等は、アルフさんの直属部下の3人から下るのが殆どだ。今はどうか知らないけど、実質このグループの実権を握っているのはこの3人じゃないかな?」


「命令とかって、具体的にどんな内容なんですか?」


「主に盗み。場合によっては殺しも辞さない。後は情報収集とかかな」


「えっ…確か、アルフのグループは人々に実害を与えるような事はしないんじゃ…」


「実害ねぇ…。正確には無関係の人に害を与える様な事はしないと言う意味だね」


「どういう事ですか…?」


「僕達が主にターゲットにしていたのは、正攻法じゃない形で財を為した者や、グループの敵となる人間のみだよ。それ以外の人間に危害を加える事は、規律で固く禁止されている。もし破ったら例え仲間であっても必ず始末される」


要するに昔で言う、義賊みたいな事をしてるって事か。

ただ、じゃあ何のために轟孤に属しているんだ?

別に轟孤である必要は無いはず。

アルフって奴は何が目的なんだ?


「ふふ、理解に苦しむだろ?」


「はい…ここまでくると、轟孤である意味があるのかと…」


「君は轟孤って聞くとまず何をイメージする?」


「うーん…ざっくりとゴミクズ…悪くて危ない連中…とかかな?」


「ゴミクズはともかく、まぁ危ないとか悪い奴等ってのがポピュラーなイメージになってる訳だ。じゃあ仮にそんな奴等と対峙したらどうする?」


「ぶっ飛ばす」


「ごめん、予想外の回答が返ってきた。今の質問は無かった事にしてくれ。要は轟孤という強力な鎧を纏う事によって、無駄な血を流さなくて済むと言うわけだ。お互いにね。大抵の相手は抵抗する事なく降伏してくれるからね」


「元々このグループはそれを目的に轟孤として活動してたんですか?」


「いや、以前は他のグループと一緒さ。己が欲望の向くままに悪事を働いていた。勿論、アルフさんもね」


「それがなんで急に…」


「20年前、とある男との出会いがアルフさんを変えたらしいんだ。一体どんな男だったのかは、誰にも話していないらしいから僕にも分からないけどね」


悪党集団の頭を変えてしまうなんて、一体どんな魔法の言葉を言われたんだろうか?


「ただ、急激な方向性の転換がグループメンバーに受け入れられる訳もなく、次々とメンバーは脱退、若しくは他のグループへ移籍していき、300人以上居たメンバーは30人にまで減ってしまった」


「逆に、30人も残ったんですね」


「まぁひとえにアルフさんの人望やカリスマ性だね。彼に心酔するメンバーは少なくない。自分も含めて」


「ガラさんはなんで轟孤を抜けたんですか?」


「抜けた…というのは正確じゃないな。元に戻ったと言うべきか…」


「ん、どういう事ですか?」


「ふふ、僕は政府公認、轟孤専門のスパイさ」


「スパイぃ!?」


何故か誰よりも驚いていたのは、ここまで俺達を連れてきたユウさんだった。

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