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二世界生活、始めました。  作者: ふくろうの祭
4章 ふたりの冒険生活
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No.47 Side 高橋 駿⑤ ~1枚の写真~

間違いない、だいぶ若いけど蓮斗のお父さんだ。

でもなんでロジさんの家族と一緒に写ってるんだ…?

写真の後ろに写ってるのは、この家で間違えない。

つまり、蓮斗のお父さんが過去にこの世界に来てた…。


いや、蓮斗のじいちゃんが酔っ払った時に聞かされた一族の話。

あの話が本当なら、別にこの世界に蓮斗のお父さんが来たことがあっても不思議じゃない。


ただ…なんだこの違和感。

なんでみんなその事に触れないんだ?

ロジさんも蓮斗のじいちゃんも…。

蓮斗は…そもそも知ってるかどうか怪しいけど。

訳があって隠しているのか?

え、マジでなんで?

くそー、俺の脳ミソじゃフル回転させても答えなんか出ない!


「シュン君、どうだい片付けの方は?」


ふいに後ろから話しかけられたので、俺は心臓が止まるかと思った。

この家族はみんな、人の背後をとるのが好きなのか…?


「あ、あの、もう少しで終わりますよ!」


「そうかそうか。今日は君が来てくれたから、ホントに助かったよ。恩に着るよ」


「い、いえいえ、そんなに言われる様な事じゃ…」


「ははは、そんなに謙遜する事はないよ。君やリンタロウのお陰で、日に日に村が元気になってきてるよ。これは事実だ」


「はぁ…」


すると、ロジさんはふと、俺がさっきまで見ていた写真に目をやった。


「これはまた、随分と懐かしい物が出てきたね…」


ロジさんは目を細目ながら、懐かしむように写真を眺めていた。


「そこに写っているのは、ロジさんのご家族ですか?」


「あぁ、もう20年近く前になるのかな。今この村にいるのは私と息子だけだけどね」


「そう…なんですか…」


過去の思い出を振り替える様に、どこが寂しげな表情をしているロジさんにかける言葉が見つからなかった。


「どうせビナの事だ、私の娘の話もいくらか聞かされたんじゃないかな?」


「あ、はい、現在行方が分からないって…」


「娘…ラナっていってね…彼女の行方が分からなくなってから、早15年も経ったよ」


「15年…」


15年もの長い間、自分の娘と会えないロジさんが不憫でならなかった。


「数年前には妻も病気で亡くなってね…。年は取りたくないもんだね」


「ロジさん…」


「まぁ幸いにも、頼りになる息子夫婦と可愛い孫達がいてくれてるお陰で、なんとか人生に絶望しなくて済んだよ」


俺の頭にふと天使の様な笑顔を浮かべるビナちゃんの姿が浮かんだ。

恐らくロジさんの事をずっと気にかけてくれていたんだろうな。


「すまないね、年寄りの辛気臭い話なんぞ聞かせてしまって」


「そんな、とんでもないです! またいつでも聞きますよ!」


いつでも聞きますというのが、果たして正しい返事だったのかは分からないが、それが俺に出来る精一杯の返事だった。


「ははは、いつでもだなんて、そんな気を遣わなくて大丈夫だよ! でもありがとう、シュン君。君もそろそろリンタロウの所へ戻るといい」


そう言ってロジさんは階段を降りて行った。

その後ろ姿は寂しげでもあり、どこか力強くもあった。

ロジさん一家の写真をタンスの上に置くと、俺も1階に降りて行った。


1階には何故かビナちゃんが一人で佇んで居た。

予想外の光景に若干戸惑いを隠せなかった。


「あ、シュンさん、お疲れ様です。今日はホントにありがとうございました。今から戻られるんですか?」


「あ、はい、今から帰ろうかと…。ロジさんは…?」


「ついさっき、リンタロウさんがこちらに見えて、お爺ちゃんを飲みに連れ出して行ってしまいました」


「あ…そうでしたか…。なんかすみません」


「いえいえ、お爺ちゃんも久々にお友達に会えて、なんだか嬉しそうです♪ この間なんて二人でパンツ1枚で仲良く踊ってて…」


「いやいやいや、そこは孫として止めときましょうよ! 村長さんがパンいちでダンシングは不味いって!」


「ふふふ、じゃあ今度から注意しますね♪ じゃあシュンさん、またね!」


イタズラっぽく笑いながら言うと、ビナちゃんは行ってしまった。

「またね」と言ってくれた事に嬉しさを覚えながら、俺も蓮斗のじいちゃんのいるもとへ戻る事にした。

あ、でも蓮斗のじいちゃんとロジさん、一緒に飲んでんだっけ?

どこで飲んでんだろう?

まぁいいや、先にスーナちゃんの家に帰ってるか…。


スーナちゃんの家に戻ると、案の定、そこには誰もいない。


正直…今のこの状況はツラい。

何せ携帯もゲームもテレビも漫画もパソコンも何もない。

非常につまらない。

おまけに、友人の蓮斗は、スーナちゃんと一緒に旅立ってしまった。

スーナちゃんと二人きりで旅しているであろう蓮斗を羨ましく思う事もある。

勿論、その旅がどんなに困難なものなのか、どんなに無謀や事なのかも、十分理解している。

実際、俺は二人が轟狐の連中を追いかけると聞いたときは、心配で仕方がなかった。


でも……




…………。










「おっかしいぃだろーよ!! なんで俺だけ、毎日毎日じじいにこき使われてクタクタになんなきゃいけないんだよ―!! 何!? 僕何か悪い事しましたか!? 僕の17年間の人生、なんか間違ってましたか? なんだよ、蓮斗のヤロー!! ずりーぞチクショー!! 寂しいから早く帰ってきて―!! つーか、早く家に帰りてーよー!!」


俺は心の中に溜めていた、不平不満を一気にぶちまけた。

多少ではあるが、いくらか心の中がスッキリした。


あぁ、分かってるよ…。

別に不満をブー垂れても、何も環境は変わらない事。

ホントは蓮斗やスーナちゃんだって、どこかで不安を抱えている事。

じゃあ俺には何が出来るんだろう?

何をしなきゃいけないんだろう?


今、俺が出来る事……か…。


「結局、今の所は蓮斗のじいちゃんのいいなりになって、少しでもこの村の復興の手助けをする事以外に選択肢はないんだよなぁ…。どうせ帰れないし」


些か消極的な理由ではあったが、自分の中で納得をつけることが出来た。

消極的でもなんでもいい、今俺が出来る事をやるんだ。

そして…


「蓮斗、スーナちゃん…頑張れよ!」


夜空に向かって嘘偽りない気持ちを、言霊として解き放った。

今日も夜空の星が眩しく俺を照らしていた。

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