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8 絶望

 ♦︎Qが本能に負けて、♠︎Qと消えていった。

 その様子を覗いていた者がいる。

 ❤︎Aだ。

 彼女にとって、本能を我慢できている♦︎Qは希望だった。

 しかし、その彼女でも……本能は抑えられなかった。

 

 ……やはり、本能には抗えないのか……?


 絶望に近い感情が❤︎Aの中で膨れ上がった。

 

『2週目ラストだな』

『以外と消えるペース早いよね』

『本当にそれ。ギネスに乗るかもな』

『んな訳。さすがにふざけすぎでしょ』


 次に世界を渡るのは、joker。

 彼女はどこにもいない、もう1人のjokerを求めて世界を渡るのだ。

 消えたくても消えれない。これは幸せなのか、それとも不幸なのか。


「……この世界には、いるの……?」

「……どこにもいない……」

「次の世界に、行かないと」


『あれ、揃わなかったか』

『じゃあ3週目いくぞ』

『ほい、カードどうぞ』

『んじゃ、これで』


 今度は♦︎Kが世界を渡ったようだ。

 彼女は運がいいようで、新しい世界で想い人を見つけることができたようだ。

 その瞬間に表情が今まで見たことないくらいの歓喜のものへと変化する。

 ♦︎Kと目が合った♣︎Kの表情は逆で、絶望のものに染まっていく。

 ♦︎Kは自分の姿を見て慌てて逃げ出した♣︎Kを捕まえて、強引に自分と密接させる。


「ふふふ、見てこれ……私たちが一つになってる証拠だね」

「イヤイヤイヤっ!! 離してよ!!」

「なんで? 貴女だって消えたいんでしょ?」

「そうだけども……でも貴女と消えたい訳じゃない!!」

 

 ♦︎Kは必死にもがき、抵抗をする♣︎Kを愉快そうに眺めている。

 そして絶望している♣︎Kの表情を満喫すると、より身体を密接にして溶けるスピードを上げていく。

 もはや悲鳴にもなっていない断末魔のような♦︎Kの声が響くが、その声も長くは続かなかった。

 彼女たちは醜い汚物のような何かへと変貌し、消えてしまった。

 


ーーーーーー


Aの世界 2枚

❤︎5 ♣︎Q


Bの世界 3枚

♦︎A ♠︎5 ❤︎6


Cの世界 5枚

❤︎8 ♣︎J ♦︎10 ❤︎A ❤︎Q


Dの世界 5枚

♣︎6 ♠︎8 ♦︎J ♠︎10 joker


ーーーーーー

 物語のヒント

少女が1人もいない世界は崩壊し、2度と蘇ることはないだろう。

ここまで読んでいただきありがとうございました!

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