4 不安と希望
『お前もペア揃ったのかよ』
『ボクだって負けないよ?』
『いいから早く引けよ』
『りょーかい』
今回世界を渡るのは、❤︎A。
彼女は少女たちの中では植え付けられた本能が弱く、消えたいという欲求は少なかった。
消えることよりも、今までの日々の方が魅力的で、素晴らしきものの様に思える。
……しかし、それは本能を植え付けられてから同じ数字の者を見たことがないから、言えるのか……?
そんな不安が脳裏をよぎった。
彼女は別の世界に降り立つと、自分の不安を否定するために同じ数字の者がいないか探した。
が、この世界にも彼女以外のAはいない様だ。
だが、不安は解消することができた。
♦︎Qと♠︎Qは以前のように会話をしている。
内容は少しばかり違うが、それでもいつも通りに見えてしまう。
「ダイヤ、君は辛くないのかい?」
「辛くないと言えば、嘘になりますね」
「そうか……。なら何故我慢してられるんだ……?」
「好きだから、ですかね? 好きな人には幸せになって欲しいので」
「そうか……君は強いな」
たしか、♦︎Qは以前から♠︎Qに好意を抱いていたはずだ。
それなのに、消えようとしていない。
その事実が❤︎Aの希望となった。
いつかは、以前のような景色が見れるかもしれない。
……なら、いつまで、この絶望が続くのだろう?
彼女の胸に、誰も知る余地のない疑問が浮かんだ。
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Aの世界( 6枚)
♣︎3 ❤︎5 ♦︎7 ♣︎Q ♣︎K joker
Bの世界( 4枚)
♦︎A ♠︎5 ❤︎6 ♠︎7
Cの世界( 7枚)
❤︎8 ♣︎J ♦︎10 ♦︎Q ♠︎Q ♦︎K ❤︎A
Dの世界( 6枚)
♦︎3 ♣︎6 ♠︎8 ♦︎J ❤︎Q ♠︎10
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物語のヒント
少女たちは両想いではない。
たった1組の少女たちを除いて。
ここまで読んでいただきありがとうございました!
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