表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/78

セシル・イグニス

「おい、いきなり失礼だな。人を出来損ない扱いなんて」


「誰だい、君は?」


「俺は一条 鬼雨だ。お前こそ誰だ?」


 赤い吸血鬼は鬼雨をじっくりと観察したあと、腰に手を当て、ため息をつく。


「はぁ……お初にかかります。私の名前はセシル。セシル・イグニス。あの、名門イグニス家の跡取りです。以後、お見知りおきを」


 セシルは右手を胸に当てながら、作り笑顔で名前を話してきた。一通り、終わるとリリィに目を向ける。


「では、行こうか? 出来損ない」


 セシルは汚物を見るような目でリリィを見たあと、背を向け歩き出した。一言も話さないリリィを見ると震えていた。


「……おい、待てよ」


 鬼雨はセシルの左肩を右手で掴んだ。


「なんだね?」


「リリィに謝れよ」


 セシルは背を向けたままで、こちらを見ようともしない。ただ、鬼雨にはセシルから放たれる強烈な殺気を感じた。それでも鬼雨は引かない。


「はて、何を言ってるのやら……あと、貴様。いつまでわたしの肩を掴んでいるつもりだ?」


 掴んでいたセシルの肩が徐々に熱くなっていく。


「あ、あつ!」


 思わず離してしまった鬼雨の手は火傷していた。軽い火傷だったのですぐに治ったが、再び掴もうとはしなかった。


「やめて! やめて、鬼雨。私は大丈夫だから……」


 見守っていたリリィが口を開く。言葉には何か重みがある言い方だった。


「大丈夫な訳あるか! ここまで――」


「大丈夫だから!! お願い、信じて……」


 リリィの強い言葉に負け、鬼雨は立ち尽くす。


「セ、セシル。お願い、鬼雨も連れてって」


「ふむ……こいつが吸血鬼だと言うのならいいだろう」


 リリィは鬼雨と目が合う。互いに確認の意で頷き合う。行くことを決めた2人はセシルの後に着いていく。


「とりあえず、王が呼んでいらっしゃる。急ぐぞ」


 セシルは翼を大きく広げ、地上と飛び降りた。


「ここ、50mぐらいか?」


「たぶん?」


「なら、力はいらねーな。行くぞ」


「え? ちょっ!」


 鬼雨は、リリィを再びお姫様抱っこをして、飛び降りる。見事に着地すると目の前にはセシルがいる。


「品の欠片もないね……こっちだ」


 案内されるがままに歩いていくと、大きな扉があり、開くとあちこちにドレスやスーツを着た紳士淑女がいた。

 それぞれが片手に赤い液体が入ったワイングラスを持ち、片方は口に手を当てて、こちらを見ながらクスクスと笑いを隠している。


「鬼雨……」


 リリィは鬼雨の袖を軽く掴んできた。


「気にするな、リリィ」


 先に行くセシルの後について行き、部屋の奥にある階段を登り、右へ左へと曲がりながら長い渡り廊下を歩き、さらに奥に1つの部屋が見えてきた。セシルは3回ノックしたあと、呼びかける。


「王。失礼します」


 扉の向こうには大きなベットに白髪で長髪の若い男性が1人いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ