ユイ
起きたと思ったら、違った。
「あれ? いま、九尾が起きて……」
そんなことはなく、九尾は今でも寝ている。
ヘリコプターから現れたのは我らの組織のボス、ステンノーだった。
「ほんと、いっつもいいタイミングで現れるな」
「フッ……それが仕事だからな……リリィが待ってるぞ」
「それは早く帰らないとな」
雨雲は晴れ、眩しい日差しが鬼雨達を指す。今は木陰に隠れているから大丈夫なのだが、日光をに当たると燃えるのがわかる。
「そうだ、これを付けておけ」
渡されたのは、どこにでもあるような腕時計。時刻は12時30分を過ぎようとしている。
気になって、表面に触れてみると、指紋認証がされた
「これは?」
「紫外線カットと電話機能を付けた時計だ。もう、外に出ても大丈夫だ」
「本当か?」
試しに出てみると、何ともない。たった数時間、影から出られないという苦痛が解放された。
自由とは?と考えた時、苦痛からの解放だとこの時、鬼雨は悟った。
「すげー、すげぇーよ! ボス!」
「お気に召してなによりだ。さて、問題はこの女だが……殺すか」
「ま、待ってくれてよボス。何も殺さなくったっていいじゃないか」
ボスは九尾に向かって拳銃を構えた。そんなことも知らずに未だに気持ちよさそうに寝ている九尾。鬼雨はボスと九尾の間に入り説得を試みる。
「なんでこんなことをするんだ?」
「こいつの犯罪履歴を剃らないからそんなことを言うのだ。それとも何か? 一緒に死にたいのか?」
「それは……」
そんな時、九尾が目が覚めた。
「あれ?……ひぃぃぃぃい!! やめて! ユイを撃たないで!」
状況が把握出来たのか、身を小さくした。必死に頭を抑えて、怯えている九尾がそこにいた。
「ほ、ほら……こんな子がもうあんなことしませんよ」
説得を試みるがボスの瞳にはそんなのは映っていない。まるで、別の何かを見ているような目だった。
それからすぐに気がついたのか、ボスは再び拳銃を構え直した。
「こいつ……こんな小さな体になってもこの私に幻術をかけられるほどの力を持つか……やはり今ここで!」
引き金を引き、玉が発射された。直後、拳銃が壊れた。
「ッツ!」
鬼雨の血が拳銃の穴を塞いでいた。
「……なぜ、邪魔をする!?」
「もう、人を殺している所を見たくないんだよ! もう、やめてくれて……お願いだ……」
いつも思い出すのは目の前に起きたこと。そして、死んだ人達。
「では、違うところで殺してやる」
鬼雨の気持ちを汲み取ろうともせずに、ボスは鬼雨の横を通り過ぎようとした時、周りに狐火が1つ、2つ、3つ……全部で9つの狐火がボスを囲っていた。
「そ、そんなこと……させない!」
また泣きそうな九尾がボスと張り合うように前に出た。




