絶対的強者の対決
麒麟と九尾が互いに睨み合い、30秒。お互いに技を構えながら、微動だにせず、じっと睨めっこのまんまになった。
これはただ、突っ立っているはけではなく、強者同士の睨み合い。よくよく見ると、小指、肘、尻尾などが隠すかに動いている。
「イメージでこの私と互角とは……やりますわね」
「そんなわけがないだろ。我の勝ちだ」
そんな二人の時間が動き出た。麒麟が足を引き、大きく口を開いた。口の中に雷が丸く圧縮されていく。
「ふふふ、ようやくですか……では、さいなら」
九尾の尻尾が麒麟の方を指し、狐火が動いた。どんどん麒麟の方へ向かう狐火。
麒麟もちょうど技の準備が完了したのか、大きく口を開き、圧縮されていた丸くなっていた雷が咆哮のように九尾に向けてまっすぐに発射された。
お互いの技がぶつかる直前、なにかにぶつかった。
「邪魔が……入りましたわね」
「……」
飛んできた方向を見ると1人の少年が立っていた。
「ぁぁぁぁあ!!」
宇宙から真っ逆さまに落ち、物理法則に従い加速する機体の中にいた鬼雨は叫んていた。
視界が真反対になる上に、急激なGがかかり、血が頭の方へと登っていく。
「こ、これやばい……し、死ぬ……」
そんな中、ピンポンパン〜と再びアナウンスが鳴った。
『本部より、通達。「思ったよりも戦闘が早くに始まったから急ぐ」ということにより、ジェットエンジンをかけます。ご注意ください。繰り返しご注意――』
「ふ、ふざけんなぁぁぁぁぁあ!!!!」
感じていたGがさらに重くなった。頭に血が上るスピードが早くなり、もう、何も考えられない。気が遠くなり、意識すら保つことが困難になった。
そんな時、ピンポンパンと再びアナウンスが流れ始めた。
『これより、離脱します』
突如、席の後ろから風が入り、席が後方へと吹っ飛んだ。
「…………へ?」
もう、何もかもがぐちゃぐちゃだった。酔いに近い感覚が頭の中に残っており、平衡感覚が機能していない。
体から何かがこみ上げでくる。留めようとするが、力は入らず、口から溢れ出た。
「うっ…………おぇぇぇぇええええ」
口からリバースしたことにより、意識を取り戻した。若干、頭がまだ治ってないがさっきよりはマシになった。
「ッツ! 汚ねぇ……俺は吐いちまったのか……」
自分のしたことをが空中で浮いていることに泣きたくなった。
だが、そんなことはすぐに忘れた。正確には強制的に忘れさせられた。すぐ近くで物凄いエネルギーによって生まれた衝撃波が鬼雨を吹き飛ばした。
「な、なんだ!?」
席のシートベルトが外れ、掴むものが何もなくなった。すぐさま、血を出して薄い膜を作り、落下スピードを抑え、何とか着地した。
次に訪れたのは絶対的強者からの眼差しだった。
「…………タイミングが最悪だ」




