戦闘開始
「ふふふ……来ないと思ってましたが、やっぱり来るのですね……あぁ、あぁ、あぁ、楽しみですわ、楽しみですわ〜。さて、どうやって遊んであげましょうかしら〜。まずは、潰して差し上げましょう……ふふふ、ふふふふ」
お酒を飲みながら、笑いながら、鬼雨たちを待っていた。
「ッツ……あれ? おかしいな? 鬼雨、重力が上がったみたい……。操縦がやけに重いよ……」
「……これはさっき俺が感じたものだ。異様な殺気……。って、おい! 前を見ろ!」
「うわっ!」
飛んですぐに狐火に直撃しそうになった。まだ、出たばかりなので上昇してなんとか回避した。
「あっぶねぇ……あれ、食らったら終わりだ! 気をつけろ!」
「うん!」
初めのやつを回避したと思ったら、周りに後3つ配置されていた。初めのやつを含め、計4つの狐火がおってきた。
「うわぁぁぁ!! 追ってきてる! リリィ、スピードを上げろ!」
「い、言われなくてもわかってるよ!」
戦闘機が早いのか、狐火がだんだん離れていく。そして、僅か数km先に塔が1本立ってた。頂上には青い狐火が5つ。
そして――
「やっと来てくれましたわね……」
体感した。本物の殺気というやつを。さっき重たいと感じたのもこれだ。そして、九尾の尻尾から狐火が5つこちらに向かって来た。
「やばい、鬼雨! 離脱するよ!」
ボタンを押すと脱出口が開き、椅子ごと飛んでいく。パラシュートが開き、無事着地した。
その時はもう、戦闘機が溶けていた。灰が舞って、積もっていく。
「ふふふ……お待ちしておりましたわ〜」
消滅した山の中で唯一、無事だった塔から九尾が降りてきた。
9本の尻尾、頭には狐の耳が生えており、うっとり顔のせいか目までうっとりとしている。顔や言葉遣いと同様に浴衣を着こなしている。まるで花魁道中だ。
目が合ってわかった。殺されると肌で感じるほど目力が強い。
「塔からここまで高さ300mはあるぞ!?ば、化け物め……」
「ふふふ……さぁ、私を楽しませて下さいまし。あの白夜叉が認めたぼーや」
九尾は尻尾を振りながら、ちびちびとお酒を飲んでいる。いつまでも味わうように……。
「まずは腕試しと行きますわよ〜」
九尾は右腕を上げた。すると全ての狐火が集まり、太陽のように光り輝く、大きな球体が完成した。
「うふふ、では、頑張って逃げてくださいまし」




