事の深刻さ
「あぁぁぁぁ! また、これかぁぁぁぁ!」
「あははは〜! ねぇ、鬼雨! 何度体験してもやっぱり楽しいねー!」
「そんなわけあるかぁぁぁ!!」
上空から落とされ、重力にそって真っ逆さまに落ちていく。そして、自動的にパラシュートが開いた。フラフラと左右に揺れながら、落ちていく。
周りを見渡すと、他の乗客やリリィも同じようにパラシュートが開かれていた。
「あ、危ねぇな。これがなかったら今頃……」
「まぁ、その辺はなんとかなるでしょ。見てみてよ、鬼雨!飛行機が爆発したよー!」
リリィはサイコキネシスを上手く利用して、近づいてきた。
背中越しで、飛行機が空を飛んでいる途中で爆発した。リリィはこれを軽く見ていたが、鬼雨は違った。
なぜなら、それはおかしいのだから……。
「おい、リリィ! 乗客を全員を地上まで降ろせないか?……今すぐにだ!」
「えー! なんでー? いいじゃん、このままで! それに全員は無理!」
「わからないのか! 飛行機が途中で爆発したんだぞ! 普通はこんなことはありえないんだ!」
リリィは鬼雨の言うことがいまいちわかっていない。
「……つまり?」
「つまり、ミサイル並の破壊力のある物が飛行機に当たったんだ!」
「ッツ!……鬼雨、乗客をあなたの血で全員繋いで!」
鬼雨は事の深刻さを受け止めたリリィの指示に従う。
親指を噛んで、血を出し、それを縄のように細長くして操る。そして、空に漂う乗客の足や手に引っ掛ける。
一部には嫌がる者がいたが、そこは手や足が届かない所に引っ掛けた。
「よし、繋いだぞ!」
「そのまま、気を抜かないで!……行くよ!」
鬼雨の座席が空中で止まった。そして、まっすぐ直線に移動しだした。リリィがサイコキネシスで操っていた。
鬼雨が血でを操って繋いでいるおかけで、自動的に乗客は付いて来る。
「このまま遠く、そして、低く移動する。しっかり繋いでてよ!鬼雨!」
辺りは森。そして、数キロ先はここらからでは遠いが小さい塔が1つあるのが見えた。そして、塔の1番上には青い火があることも……。
それから、数分後。先には空港が見えた。
「リリィ、あそこで乗客を降ろそう!」
「う……ん、そうだね……もう、限界かも……」
だんだんとスピードも維持していた高さも落ちていく。そして、空港を目の前にして、落ちた。
「あ〜着いた。血が足りねぇ〜」
「私も〜お腹空いた〜」
シートベルトを外し、歩こうとした時、鬼雨は殴られた。
「鬼雨、大丈夫!?」
「おい、なにしてくれてんだ!おかげで台無しじゃねぇーか!」
若いお兄さんが鬼雨の胸ぐらを掴みながら怒鳴った。
「なにがどうなってるか説明し……ろ…や……お、お前達! 組織の奴らか!」
「ん? だったらなんだよ?」
「ひ、ひぃぃ!」
突然、お兄さんは逃げ出した。それを見ていた何人かは続くように逃げていく。
「な、なんだ?」
「多分、犯罪を犯している人でしょう。あとで、ボスに報告しとかなきゃ」
「あの〜。ワシらの荷物とかはどうしてくれるのじゃ?」
お兄さんの次は老人が訪ねてきた。見た目はおじいさんなのに、頭にはパンダのような耳が生えていた。
突然のことで、不安が爆発したのか周りからひどい罵声が浴びせられてきた。
「うーん……そうですね。まずは、皆さん付いてきてください♪ボスと相談します!」
こうして、鬼雨とリリィは、約100人くらいの乗客を引き連れて空港のなかに入っていった。




