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ダイブ

 とある中国にある塔の頂上にて――


「ん? これは……」


「あらあら〜そんなにニヤけて、どうしたの? 白夜叉」


 赤いワインを持つ白夜叉に話しかけるのは、小さなおちょこにお酒を入れて、ちびちびと飲んでいる、9つの尻尾を持つ狐……九尾だった。


「いや、わらわの楽しみが来た」


「あぁ、確かあなたの力をあげて少年のことかしら〜?」


「あぁ、そうだ。あの飛行機に乗ってあるな。……さて、わらわは依頼をこなすとしよう」


 そう言って、白夜叉は目の前から消えた。否、飛んでいった。物凄い勢いで飛ぶことによって、目の前から消えたと錯覚させた。


「あらあら〜相変わらずの凄さですこと。お陰で、お酒にホコリが入るところでした。ふふふ……少しからかってあげますわ〜。さぁ、お逝きなさい、狐火!」


 九尾の9つの尻尾の先から出た青い火の玉が鬼雨達の乗っている飛行機に向かって飛んでいった。


 そして、火の玉は見事に命中し、飛行機の羽に付いているターボから煙が出ていた。


「うふふふ……燃えましたわ。どうやって生き抜くか見ものですわね。……あ、白夜叉に怒られるかしら〜?……ふふふ、白夜叉と戦ってみても面白そうですわね〜」




「うおっ! な、なんだ!?」


 急に機内が揺れだした。幸いにも、もうすぐ着陸するので、乗客が全員席に着き、シートベルトをしていたのである程度のショックが抑えられた。だが、いきなりのことで乗客がパニックになった。そんな時に――、


「き、鬼雨……鬼雨! 大変だよ! 見て!」


 リリィが袖を引っ張ってきた。見てみると、羽に付いているターボなら火が出ていた。


「な、なんだこれ!……これも白夜叉の仕業か!?」


「いや、それはないよ……仕掛けたやつを見つけたもん」


 窓にべったりと張り付くように地上を見ていたリリィがそう断言した。鬼雨もすかさず覗くと、青い火があるのが見えた。


「あれか……」


「殺らなきゃ……殺らなきゃ! じゃないと殺される!!」


 リリィの何気のない一言が状況の危うさを物語っていた。


 お互いに目が合い、頷き、いざ飛び出そうとした時、アナウンスが流れた。


「誠に申し訳ありませんが、これよりお客様の避難を開始します。スタッフの従ってください」


 そこでようやく気がついた。


「そうか、俺たち以外にも乗ってたな」


「相手の力に警戒し過ぎて、私も忘れてた……とりあえず、避難が先だね! 相手もこれ以上何もして来ないってことは様子だと思うし……」


 あまり信用ならない言葉を聞かされた鬼雨の反応を見て、リリィは少しムッとした。


「もと、Cランクを舐めないで! ここまで行くのに、どれだけの鍛錬を受けたと思ってるの!」


 鬼雨は、またしても地雷を踏んでしまったと、思った矢先にアナウンスが、再び流れた。


「これより、お客様の避難を開始します。席に着き、しっかりと捕まってください。それでは、行きます……3、2、1、ダイブ」


 呑気にカウントダウンを聞いていた鬼雨は疑問に思ってしまった。


「ん? ダイブ? なんだそれ……あ、あぁ、ああああああああ!!」


 アナウンスのダイブという言葉と同時に床が消滅した。

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