デート終了!
フォロ ロマーノを回る終わる頃には既に太陽は沈んでいた。土地が広いせいか、周りには建物がなく、遠くの方を見ても光が乏しい。おかけで辺りが真っ暗だが、空は満天の星空だった。
「綺麗だな……こんなにたくさんの星を見たのは初めてだ……」
「鬼雨はまだまだ子供だねー! 私なんて何回も見たことあるよ」
リリィが少しドヤ顔で話してきた。それにやたらと嬉しそうだ。
「生意気だな……覚えてろよ……これで終わりか?」
「ううん……もう1箇所だけお願い!」
そう言って鬼雨と繋いだ手を引く。歩くこと5分、ようやく光が見えてきた。外は真っ暗だと言うのに人々はまだ賑やかだ。ずいぶんと歩いたせいか、ぐぅ〜とお腹がなった。
「お腹……空いたね」
「そうだな……なにか食ってから行くか?」
「賛成―!」
適当に歩いていくと、少し洒落た店があった。場所がローマと言うだけあって、イタリア料理が多い。パスタやピザといったメニューが食欲がそそる。定番とオススメを頼み、かなりお腹が一杯になる。
「さて、じゃぁ行くか!」
「うん!」
そこから電車で30分。着いたのはトレヴィの泉。夜のこともあり、ライトアップされている。大きな建物の前に彫刻が置いてあり、その下から水が溢れ出ている。
「すごいな……ここに来てから初めてのことばかりだ」
「でしょでしょ〜! ねぇ、鬼雨! ここの言い伝えって知ってる?」
「なんだ?」
「コインを1枚投げると再びローマに来ることができて、ええっと……あ、そうだ! 2枚投げると……確か、大切な人と永遠にいることができるんだよ!」
少しあやふやだったがちゃんと覚えていた。リリィはポケットから2枚のコインを取り出す。
「ちゃんと用意してたのか……」
「当たり前だよ! だってメインがここなんだから!」
そう言ってコインを1枚渡す。上目遣いだが訴えてくる。『一緒に投げよ!』と。
「はぁ、はいはい。わかってるよ。一緒に投げたいんだろ?」
「えへへー! バレた〜?」
これが考えてなのかはわからないが喜んでいるので良さとする。
「投げるぞ〜! せーの!」
2秒後にポチャンと同時に音がした。リリィはやたらとニヤニヤしている。ほっぺもユルユルでだらしない。
「ふふふっ、付き合ってくれてありがとね、鬼雨。……じゃぁ、帰ろう!」
「あぁ、そうだな」
電車で約1時間かけて、ホテルのに帰るとまたしても1通の手紙と新たな荷物が置いてあった。




