デート開始!
「お前なぁ、デートって言ってもまず、ここはどこかわかってるのか?」
レクリアと出会ってから今まで自分が、どの場所にいたかもわからないまま過ごしてきた。疑問に思うのは当然である。そんな鬼雨に対し、リリィは──
「ここ、ローマだよ?」
「………………は?」
あまりにも日本からかけ離れているため、イメージしずらかったが脳がなんとか処理してくれた。
「ローマって、イタリアの?」
「そうだけど……鬼雨、大丈夫?」
「あ、あぁ……少し驚いただけだ。それよりデートするってどこに行くんだ?」
「そのへんはバッチリ任せてといて!」
リリィは自分のか胸を拳でポンッと叩き、自信満々の態度をとる。
だが、今回は大丈夫そうだ。机の上には地図とメモがある。しかも服装も出発した時に来ていた服ではなく、女の子らしい服だ。きっちりと背中の翼が見えないよう工夫もしてある。
(……ここまで気合が入るはレクリア以来か……まぁ、信じてみるか)
「リリィ、その服、すごく似合っているぞ」
「ありがとう〜二ヒヒッ」
こうして、デートが始まった。
ホテルを出て、電車に揺られること約1時間。降りてから徒歩15分でようやく付いた。
「ここがあの有名なコロッセオか……初めて見たな」
闘技場と言うだけあって、高さもかなりある。20mほどあり、1番上には鳩が5匹ほど可愛らしく1列で並んいる。ベンチに座ってボケーッと鳩を見ていると、リリィがこちらに走ってきた。
「お待たせ〜! はい、これ!」
渡してきたのはチケットだった。コロッセオの入場券だった。
「これ、入るのに金を取るのか……」
「まぁ、世界遺産だからねぇ〜」
中に入ると意外としっかりとした作りで出来ていた。今みたいに鉄などをあまり使わない自体に作られたせいか殆どが石で出来ている。
適当な椅子に座る。続いて、リリィも隣に座る。感触はやはり硬いが背もたれもあり、しっかりと出来ている。歴史を肌で鬼雨をチラチラとリリィが見て、モジモジしている。
「ん? どうした?」
「ねぇ、鬼雨。これってデートだよ……ね?」
「あぁ、そうだな」
「だったら、手を繋いで貰っても……いい?」
よほど恥ずかしかったのか、リリィは耳まで真っ赤にさせながら要求してきた。女の子がここまで勇気を出してやるのだから、それに応えなければならないのが当然だろう。
だが、鬼雨も返事をしようとすると恥ずかしくて言葉が出ない。
(何やってんだよ、一条 鬼雨! 男だろ! しっかりしろ!)
「い、いいぜ」
振り絞って言えた一言にリリィはパァーっと喜びの顔が浮かぶ。そして、互いの指が少し当たり、ここにあると確信し、つぎはしっかりと手を繋ぐ。
「えへへっ、ようやく手が結べた♪ あ、そうそう知ってた? 鬼雨、ここの下は私たちの組織だよ!」
「…………はい?」




