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【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】  作者: メソポ・たみあ
第3章 悪役男爵とバロウ家

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第53話 今日からキミは?


「――なんなのよ、あの女ッ!!!」


 ガシャンッ!とティーカップが床に叩き付けられる。

 それと同時に紅茶がぶちまけられ、絨毯に染みを作っていく。


「”呪装具”の呪縛を自力で解いたですって……!? どうして思い通りに破滅してくれないのよ、レティシア・バロウのくせに……!」


 淑女はギリッと歯軋りし、激しく苛立つ。

 もう憎くて堪らない、という様子で。


 そんな彼女の前で、”串刺し公(スキュア)”は棒立ちになって萎縮する。


「……申し訳ございません。よもや彼女にあれほどの力があろうとは……。やはり破滅させるなどと考えず、直接手に掛けてしまった方が良いと小生は――」


「うるさいッ!!!」


 大声で怒鳴り散らかされ、ビクッと肩を揺らす”串刺し公(スキュア)”。

 さらに淑女の八つ当たりは続く。


「お前がライモンドなんて役立たずを使わなければ、こんな惨めな気持ちになることもなかったのよ! この愚図!」


「……面目次第もありません」


「絶対、簡単に殺してなんてやらないわ……。あいつの幸せをぶち壊しにしてやらなきゃ、気が済まないんだから……!」


 ガリガリと腹立たしそうに爪を噛む淑女。

 対して、彼女の言葉を聞いた”串刺し公(スキュア)”はふと思い出す。


幸せ(・・)、でありますか……。そういえば近頃、とある噂を耳にしたでありますが――」




 ▲ ▲ ▲




 ――ライモンドが死亡したことにより、”呪装具”の事件は一旦幕を閉じた。


 結果的に生徒一名、主犯でもある教師一名が死亡。

 ”催眠魔法”によって操られていたDクラスの面々もエステルたちとの交戦によって負傷し、エミリーヌとバスも命に別状はないにせよ重傷を負うという形となった。


 まあ、十分に大惨事である。


 事件の翌日には学園や王国騎士団の関係者が訪れ、俺たちに事情聴取が行われた。


 ライモンドにトドメを刺したレオニールに関しては、ライモンドが”呪装具”を製作していたことが物的証拠となって罪に問われることはなかった。


 要は正当防衛ってことにされたのだ。

 それにオリヴィアやパウラ先生からの口添えもあったしな。


 兎にも角にも、俺たちの合宿は中止。

 急遽学園へと戻ることになったのであった。


「あーあ、まさかこんなことになるなんてな……」


 学園の廊下を歩き、頭の後ろで手を組みながらぼやく俺。

 そんな俺の隣にはレティシアの姿も。


「ええ……ライモンド先生が”呪装具”の実験をしていたなんてね」


「レティシア、あれから身体の具合は大丈夫か? どこか違和感とかないか?」


「私なら平気。それよりあなたこそどうなの? 一時的とはいえ”呪装具”を着けたって聞いたけれど?」


「俺があんな玩具に惑わされるワケない」


 思い出すと多少は胸糞悪くなるけど。

 レティシアがあんなこと言うワケないだろーが。

 人様の心にズカズカ土足で踏み込みやがってよ、あの性悪宝石は。


 レティシアは「ならよかった」と微笑んで言うと、


「今回の件、オリヴィア姉さんが全て魔法省に報告すると言っていたわ。ライモンド先生が作った”呪装具”も全部回収されるはずだから、心配いらないって」


「そりゃありがたい。あんなもん世の中から消えた方がいいからな。……それよりライモンドと一緒にいた、あの仮面の男――」


 ”串刺し公(スキュア)”、だっけ?

 前にもイヴァンを誑かして、レティシアをゴロツキ共に誘拐させた張本人。


 そして今回も、レティシアを攫ったライモンドの傍に奴がいた。


 あいつだけは許さない。

 何度も俺からレティシアを奪おうとしやがって。

 何度も何度も、何度も……! 


「あいつとは、いずれ必ずケリをつけないとな。絶対に探し出して……殺す」


 グッと拳を握り締める。

 殺意と怒りを込めて。


 その時、ふと廊下の向こうに人の姿を見る。


「――あれ、レオニール……?」


 そこに立っていたのはレオニールだった。

 壁にもたれかかり、どこか虚ろな目をしている。

 向こうもこちらに気が付き、


「……あ、オードラン男爵にレティシア夫人」


「どうしたこんなところで。クラスに行かないのか?」


「いや、ちょっと考え事をね……。でもそうだね、もうすぐ授業も始まるしクラスに行かないと」


 彼は壁から背中を離し、スッと背筋を伸ばす。


 ……ライモンドの一件以降、ずっとこんな感じだ。

 ボーっとすることが多くなり、どこか上の空でいることが多くなった。


 とはいえ本人は「心配いらないよ」の一点張りだし、生活に支障が出ているワケでもないのだが……。


「えっと、ご一緒してもいいかな?」


 俺たち夫婦を気遣ってか、そんな質問が飛んで来る。

 そう言われて、一瞬顔を見合わせる俺とレティシア。


 彼女は構わないという様子でちょっと肩をすくめ、俺もレオニールなら別に……という感じでアイコンタクト。


「ああ、レオニールなら構わない」


「ありがとう! それじゃあ行こうか、我が”(キング)”よ!」


 にぱっと朗らかに笑うレオニール。

 その笑顔は、以前となんら変わりない。


 だけど――気のせいだろうか。

 なんとなく……俺を見る時の”目の色”が、変わってしまったように感じるのは。


「――そういえば、もうすぐ初めての中間試験が始まるね。あんな事件があったけど、予定通りやるのかな?」


「ん? ああ、もうそんな時期か。どうだろうな、流石に教師が問題起こした後だし。俺としては、面倒くさいだけの試験なんてない方がいいけど」


「あら、パウラ先生はEクラスとDクラスが落ち着き次第、試験は普通に行うと言っていたわよ?」


「……マジ?」


「まったく、この学園らしいわよね」


 ハァ、と呆れた様子でため息を吐くレティシア。


 いやホントだよ。

 この学園、ってかあの校長(ジジイ)イカレてるだろ。


 教師と生徒に死人が出てるんですが?

 それでもやるか、普通?

 マジでなに考えてんだか……。

 

 なんて思っている内に、俺たちはFクラスの前まで到着。

 そして扉に手を掛け、ガラリと開けたのだが――


「ん? キミたちは――」


「え、誰?」


 まず俺の視界に入ったのは、見覚えのない美男子の顔だった。

 短い茶髪に端正なルックス、かつ細身で高身長。

 やや切れ目の鋭い目つきが特徴的。


 雰囲気からして高い身分の貴族で、一目で「コイツ絶対異性にモテるだろ」と思うタイプである。


 たぶん他所のクラスの奴だろう。

 なにやらイヴァンと話し合っている様子だったが……。


 イヴァンは俺の顔を見るなり、気まずそうに眼鏡を上げる。


「オードラン男爵……その、だな、少々落ち着いて聞いてほしいのだが――」


「! レティシア嬢、そこの淑女はレティシア・バロウ公爵令嬢か?」


 美男子はレティシアを見つけるなり、彼女の下へツカツカと歩いてくる。


「え? ええ、今はレティシア・オードランだけれど――」


「ふむ……お会いできて光栄だ、我が将来の花嫁よ。あなたのような美しい方と”婚約”できて、とても嬉しく思う」


「…………は?」


 硬直するレティシア。

 いや、彼女に限らずクラスにいた全員が固まった。

 勿論、俺を含めて。


「……あなた、今なんて……?」


「なんだ、聞いていないのか? では改めて説明しよう」


 美男子はサラリと前髪をかき分けると、


「バロウ公爵家はオードラン男爵家との関係を解消。新たに我がリュドアン侯爵家と縁を結び、この僕ヨシュア・リュドアンとレティシア・バロウが婚約する運びとなった。キミは今から――僕の婚約者だ」


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