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【✨書籍化✨】怠惰な悪役貴族の俺に、婚約破棄された悪役令嬢が嫁いだら最凶の夫婦になりました【悪役✕結婚】  作者: メソポ・たみあ
【第2部】第3章「ショタの初恋を奪ってしまいましたわ~!」

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241/252

第241話 〝お嬢様〟の生き様①


「「「うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああッッッ!!!」」」


 エステル渾身の一撃を受けた馬車の客室(キャビン)は、まるで巨大な(ハンマー)で叩きつけられたかのように半壊状態となって吹っ飛んでいく。


 勿論、中にいたアル王子やビギーとその部下たち、そして客室(キャビン)を牽引していた馬などを全て巻き込んで。


「ヒヒーンッ!」


 強大な力でぶっ飛ばされた馬車は、石畳の道の上で何度もバウンド。

 そして徐々に勢いを殺していき、ようやく停止。


 完全に停止する頃には、颯爽と逃走していた馬車は見る影もなく滅茶苦茶に壊れ、勢いのあまり外に投げ出されたビギーの部下たちが石畳の上でぐったりと失神していた。


「ぐ……うぅ……チクショウッ……!」


 どうにかこうにか意識を保っていたビギーは、横転した客室(キャビン)の中から這い出てくる。


「あ、あのクソアマ、よくも……!」


「――失礼、お顔(・・)行きますわよ」


 ビギーが「は?」と答えて僅かに顔を上げた瞬間、細く美しくも剛脚な素足の一撃が、ビギーの顔面にぶち込まれる。


「うごぉッ……!?」


 顔を蹴り上げられたビギーはまるで軽量な(ボール)のように吹っ飛んでいき、客室(キャビン)から離れた。




 ▲ ▲ ▲




《エステル・アップルバリ視点(Side)


「さてと……アル王子、お元気?」


 私はクッソおボロボロになって横転した客室(キャビン)を掴み、「よいしょ」と片手で起き上らせます。

 四人乗りの馬車なんて、片手でひょいっですわ。


 そして客室(キャビン)の中を覗き込むと――


「エ……エステル殿~……」


 両手を縛られた状態でひっくり返る元気なアル王子の姿が、そこにはありました。


 客室(キャビン)の中を何度かバウンドしたようで、ちょっとボロボロになっておりますけれど。

 でもこれも目的のための仕方ない犠牲というヤツでしてよ、オホホホ。


 ……それにしても、どうして衣服を破られて半裸状態となっていらっしゃるのかしら?


「た、助けるならば、もう少し穏便に助けてはくれまいか……」


「なに仰いますの、充分穏便に助けたつもりですわ」


 私は歪んで開かなくなったドアをバキッと引っぺがし、中からアル王子を救出。


 お姫様抱っこの体勢で抱えますけれど――まったく、羽毛みたいに軽い身体してますわねぇ。

 こんなに華奢じゃ、腕どころか指先一本で抱えられそうでしてよ。


 それに肌も無駄にお綺麗でシミ一つなくて……本当になにからなにまで、私の理想の王子様とはほど遠いですわ。


 ……でも本当のおマジに、お肌は綺麗……。


 …………む~~~ん……。

 私はショタコンじゃありませんわ……。

 ショタコンじゃありませんけれど……改めてこうして眺めていると、やっぱり色々と思うところが――


「あの……エステル殿?」


 裸になったアル王子の上半身をまじまじと見る私に、アル王子は不思議そうにお声をかけてきます。


 私はハッとして、


「あ、あ~らごめん遊ばせ! 殿方の裸をジロジロ見るなんて、クッソお失礼でしたわね……!」


 すぐに視線を逸らし、アル王子を地面に下ろしますわ。

 そして彼の両手を縛っていた縄をブチッと素手で引き千切りますの。


「お怪我はありませんこと?」


「ああ、危ないところであったが……色々(・・)と」


「?」


「それより――またエステル殿に助けられてしまったな……」


 なんだか申し訳なさそうに、私を見上げていた目線を下へと落とすアル王子。


「心から惚れ込んだ女性に、一度ならず二度までも命を救われてしまうなど……余は男として失格だ……」


「――ちょっと、口からおゲロする言葉が違うのではなくって?」


「え?」


「なにを感傷的(おセンチ)になっているのか知りませんけれどね……いいこと? よーくお聞き」


 キョトンとするアル王子。

 対して私は「フン!」と鼻を膨らませ、


「私があなたを助けたのは、それが〝私がすべき当然のこと〟だったから――それだけですわ」


 腰に両手を当て、胸を張って見せます。


「目の前で困っている方がいれば手を貸す。目の前で危ない目に遭っている方がいれば助ける。ついでに目の前にムカつく奴がいたらぶん殴る……。それが私の〝お嬢様〟としての生き方であって、今回だってただそれを貫いただけですもの」


「エステル殿の……生き方……」


「お嬢様の道理に、男も女もあるものですか。生き様とは逸れ即ち〝人類皆お嬢様〟なのでしてよ」


「う、うむ……? うむ……」


「それに私は奥ゆかしいですから? 別に助けたからって、なにも言わなくても結構ですけれど? それでも――強いて言うなら、私が今欲しいお言葉はただ一つ」


 私は身体を屈ませアル王子と目線の高さを合わせ、鼻の先を人差し指で小突いて差し上げます。

 勿論、超弱い力で。


「〝ありがとう〟――それ以外のおセリフは聞きたくなくってよ」


「……! あ、ありがとう、ございます……」


「ん。どういたしまして、ですわ」


 よろしくてよ、と私は屈めていた膝を伸ばして真っ直ぐ立ちます。


 そうそう、お礼が言えるって大事なことですわよね!

 これも〝お嬢様道〟の一つですわ~!


今わかりました……

宇宙の心はお嬢様だったんですね!(▰╹◡╹▰)


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