第三十話 夏休み⑥
あけましておめでとうございます
本年も妹、お兄ちゃんをよろしくおねがいしますm(_ _)m
「鳳さん。どこまで買いにいきます?」
「そうねぇ。自販機は遠いから、海の家で買いましょうか」
「そうですね!」
隣を歩いている鳳さんはどこか嬉しそう。
さっきから、身体のあちこちを触ってみてはにやけてる。なにかいいことあったのかな?
「それよりも真理さん急ぎましょう」
「え?なんでですか?」
「橘くんが逆ナンパされたら事じゃない!」
「いやいや、お兄ちゃんが逆ナンなんて……」
ありえる!
あの日本一!ううん。世界一!ううん。宇宙一!ううん。私の中で群を抜いて一番のお兄ちゃんならありえる!
あの、カッコイイお兄ちゃんのことだもん、あれよあれよと言ううちに、女の子に囲まれちゃうよ!
こうしちゃいけない!早く冷たい物買って、ダッシュで、ううん。マッハで帰らなきゃ!お兄ちゃんがほかの女の子に惚気けちゃう!たかが、マッハ、私になら出せる!
でも、なんで、鳳さんはお兄ちゃんが逆ナンされるなんて思ったのかな?やっぱりカッコイイから?
すごいよ!お兄ちゃん!生徒会長にまでカッコイイって認められてるよ!さすが、私のお兄ちゃん!
そして、女の子に囲まれて困るであろうお兄ちゃんを心配するなんて、さすが鳳さん!人が出来すぎだよぉ!!
「ありえますね。早く買っちゃいましょう!」
「そうよね!そうとなれば歩いてなんかいられないわね、走りましょう!真理さん!」
「はい!鳳さん!」
待っててねお兄ちゃん!すぐ買って帰るから!
砂浜を全力疾走するビキニ姿の女子高生の姿がそこにはあった。
☆
海の家から出た私たちは、数人の男の人に話しかけられて、あれよあれよといううちに、海の家の裏に来てしまいました。
「ね?いいでしょ?ちょっとだけさーね?」
「い、いやです!そこをどいて下さい!」
「だからさーちょっとだけって言ってんじゃん?ね?」
「貴方達と遊ぶ気はありません!そこをどいて下さい!」
「おっ?なに?この女?なんで、喧嘩口調なの?調子乗ってんのか?」
「ちょ、調子になど乗ってはいません!用があるのでどいて下さい!」
「だからなんで喧嘩口調なんだ?アァ?」
「おいおい。辞めろって。脅すなよ。ほら怖がって震えてんじゃん」
「ふ、震えてなど……」
「うわ、まじだ。超震えてんじゃん」
鳳さんは怖がって後ろに隠れた私の代わりに男の人たちと話してくれている。でもその足はガタガタと震えていて今にも倒れそうだった。
かくゆう私も怖くて、身体が言う事を聞いてくれない……助けて!お兄ちゃん!!
「いいから、ちょっとだけだって、な?」
「きゃっ!やめて!離して!」
「真理さんになにを!は、離しなさい!」
怖い怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
「お前ら俺の妹になにしてんの?」
次回、徹無双……かも?
コメディーのはずなんだけどなぁ




