第二十六話夏休み②
部屋は3人にはちょうどいい大きさ。
そして夕日を浴びる橘くん。
もうっ最高よっ!!
あまり使い慣れないネットを頑張って使ったかいはあったはね!
「あの、鳳さん?」
「何かしら橘くん?」
橘くんが焦った表情で聞いてくる。
ふふっ、可愛いんだから!
「一室しかとってないのは仕方がないことです。もう他の部屋も取れないでしょうし」
「うん、うん」
「なんですけど……」
なんだろう?
橘くんが言いづらそうにしている……。
はっ……!!もしかして内装が気に入らなかったのかしら!?それとも湿気とか!?
ちゃんとホテルのオーナーには隅から隅まで綺麗にして橘くんが快適に過ごせるようにさせたのにっ!
私ったらどうしよう……。
嫌われちゃったかな?
「あの、どうして顔を青ざめているんですか?」
「え、その、だ、大丈夫よ」
橘くんに嫌われてなければね。
「ほんとにですか?」
「そ、そうよ?」
心配してくれる橘くんやさしいっ!
部屋に設置しておいた242台の隠しカメラでこの表情……いえっチェックアウトするまでのありとあらゆる橘くんを盗るんだから!
「じゃああの、いいますけど」
「うん。なにかしら?」
なにか不満でもやっぱりあるのかしら?
なんか私が不安になっちゃうな。
「どうしてベットが一つしかないんですか?」
「……え?」
「どうしてそんな、「なんだそんなことか、安心、安心」なんて表情してるんですか!?俺は全然安心できないんですけど!」
「あ、橘くんもしかして布団がよかった?でも橘くんはお家ではベットだったから」
「鳳さん!そこじゃないです!ベットとか布団とかの問題じゃないんですよ!」
「えと、じゃあ何が問題なの?」
「ベットが一つしかないところがですよっ!」
んーベットが一つしかないと橘くんは困るのかな?
私は3人で仲良く寝るにはこれがベストだと思ったんだけどな〜。
「確かに一つしかないけど、これ、キングサイズだから狭く感じることはないと思うけど?」
「寝やすさの問題でもないんですよ!」
寝やすさの問題じゃない?
じゃあなんだろう?
あ、もしかしてあれかな?
「大丈夫よ。橘くんは真ん中で端っこになんてさせないから!」
「位置の問題でもないんですけ」
「うわーいっ!お兄ちゃんと鳳さんと私の3人で仲良く寝られるねっ!」
「問題でもなんて全然ないですね!これでいきましょう!」
良かった。橘くんに喜んでもらえて。
「あの、鳳さん」
「なにかしら?真里さん?」
「グッジョブですっ!」




