第十八話お弁当①
キーンコーンカーンコーン
「んふふ〜。」
「どうしたの真理?やけにご機嫌ね」
「だって明日はお弁当だよ!?お弁当!!」
「え〜。お弁当の何がいいのよ。作るのだるいじゃーん。」
「それがいいの!!それが!!頑張って作ったお弁当を美味しいって言ってくれた時なんて最高だよっ!?」
「え?もしかして真理彼氏でも出来た?」
「居ないよ〜。それに作る気もないし……」
ん?なんか教室のあちこちから一瞬喜びに満ちた空気になってその後ため息が聞こえるような……
「そうなの?それにしても男子可哀想ね」
「??」
「んん。じゃ誰に作るの?さっきの言い草だと誰かには作るのよね?」
「うんっ!お兄ちゃんにっ!!」
「……あぁ〜」
「なんだお兄さんか」、「ならまだチャンスが……」
どうしたんだろ?なんか教室がよそよそしいな……
「まっ頑張って作んなさい」
「うんっ!!お兄ちゃんに美味しいって言われるために頑張るっ!」
「真理のお兄さんなら何を食べても美味しいって言いそうだけどね……じゃまた明日」
「うん!また明日!」
☆
んふふ。
明日のお弁当何作ろうかな〜。
あっとりあえずスーパーで買い物しよっ
ん?この気配は……
「お兄ちゃん〜!!」
「おう真理。なんだお前も買い物か?」
「うんそうだよっ!……って待ってよお兄ちゃん!!なんで買い物するの!?」
「何でって明日弁当だろ?それの買い物。たくっめんどくせーよな弁当。」
「もしかしてお兄ちゃんお弁当作る気でいるの!?」
「そうだけど……」
「私が作るっ!!」
「え?いいのか?」
「うんっ!任せてよお兄ちゃん!!」
元から作る気満々だったし!!
それにしても危ない、危ない。
まさかお兄ちゃんがお弁当を作る気でいたなんて、もうお兄ちゃんは朝弱いから無理して作ろうと思わなくていいのっ!!……でもお兄ちゃんのお弁当ちょっと食べてみたいかな……
ダメダメ!!
お兄ちゃんには私の作ったお弁当を二人で食べて、美味しいって言ってもらうんだから!
「でお兄ちゃん!何食べたい?」
「そうだな〜。真理の作ったものなら何でもいいけど、強いて言えば……」
「強いて言えば?」
「ハンバーグ!」
か、可愛い。
お兄ちゃん可愛いよぉぉおおお!!
もうっ!小学生みたい!!
DQN入ってる顔でハンバーグなんて言われたらギャップがあって萌えちゃうよ〜!!
そしてちょっと照れてるお兄ちゃんgood!!!
写メ写メ〜
「あっでも冷凍のでいいぞ?朝からそんなの作んなくていいし」
「ううん!!絶対作る!!」
「そうか?でもほんとに無理しなくていいからな?俺は冷凍でも全然かまわないから」
こういう謙遜するところのお兄ちゃんはやっぱり素敵だな〜!!
明日はお兄ちゃんの為に絶対ハンバーグを作ろ!!
でもハンバーグってあれだよね……
素手で作るよね……いやほとんどの料理は素手で作るけど……
や、やばい!!そう考えるとちょっと……。ううん。何考えてるのよ真理!ただ私はハンバーグを作るだけっ!!そうただそれだけなんだからっ!!
「どうした真理?そんなに手を見つめて」
「な、何でもないよお兄ちゃん!!それよりほらっ材料買いに行こ?」
「そうだな」
「あっそだ!お兄ちゃん!」
「どうした?」
「明日お弁当一緒に食べようね?」
「おう!」
えへへ。
これで明日のお昼休みはずっとお兄ちゃんと一緒!!
あ〜明日が楽しみ!!
☆
あ〜明日は真理が弁当作ってくれるのか〜楽しみだな〜
んっとメール……いやLINEか
「遅くにごめんなさい。明日のお昼ご一緒してもいいかしら?」
鳳さんか。
ほんとは真理と二人きりが良かったけど、別に断る理由もないからいいか。
いいですよっと
それにしてもスーパーで真剣に材料を選んでる真理は可愛いかったな〜おかげで何枚も撮っちまったよ。途中店員にバレそうになってやばかったけど。つーかなんでゴム手袋なんて買ってたんだ?
ちなみに真理達の通う学校は珍しく給食を採用してます。




