第十一話鳳
私、水無月鳳が彼を目で追うようになってからどれくらいの月日が経ったんだろう……。
彼は1つ年下で、私が初めて興味を持った異性……。
彼の写真を盗っ、撮り続けてはラミネート加工したりして、大切に保管している。
今もブレザーの胸ポケットに入っている生徒手帳の中には彼の写真がある。それも友達に頼んで撮ってもらった、ツーショット。※とてつもなく距離が空いていて、尚且つ相手は撮られていると思ってない。
それと彼しか写ってない写真。
これは私が一日中ストーこほん。身の回りを警護してた時に彼の私服&笑顔を撮ったベストショット。
私の宝物……
私が彼に興味を持った理由はなんだったかな?
あ、そうだ。あれだ、確か。
私は別に自分の容姿が素晴らしいなんて思ったことなんてなかった。なのに何故か私がこの学校に入学してからは男女問わずに好奇の目で見られることが多々あった。
私はそれが不思議で仕方なかった。容姿が優れてるわけでもないのにどうして?って。
そんな思いをしながら一年が経った。
私は1つ学年が上がり2年生になった。
この時の私は好奇の目で見られないように頑張ろうと色々と努力をしていた。
それでも好奇の目で見られなくなることはなかった。
そんな時に彼がこの学校に入学した。
彼は校門や廊下で私とすれ違っても他の男性のように見向きもしなかった。まるで私になんか興味がないように……
そしたらいつの間にか私が彼に興味を持っていた。
校門や廊下ですれ違う度に、私は彼と目を合わせようとしたり、何の用事もないのに彼の教室の前まで行ってみたりもした。でも実際、彼と目が合うと胸がドキドキした。ううん。彼を見るだけでドキドキはしてた。
このことを仲のいい友達に話したら、それは恋だと言われた。
これが恋?ううん。私のは違う。ただ彼に興味があるだけ……恋かな?……
そんな彼も1つ学年が上がって2年生になった。もちろん私も1つ上がって3年生。
2年生になってからの彼は何故かキラキラと輝いているように見えた。もっと詳しく言うと新一年生が入学したあたりから。
去年一年。彼をまんべんなく見てた私が言うのだからこれは間違いない。毎日が楽しそうに見えた。
友達にその事を話したら、新入部員が入ったからじゃない?と言われた。
確か彼の部活は3年生が抜けて彼一人だった。
私はその事を思い出し、合点がいった。
なるほど新入部員が入って部活が楽しいからなのかと。
そして私は、GWが明けた今日。
彼の部活に入部しようと考えた。
何故なら調べてみると新入部員は彼の妹さんだったから。毎日が楽しそうに見えたのは新入部員が入ったからじゃなくて妹が入ったから。なんてことだと思ったら、いてもたってもいられなかった。
妹だろうが負けられない!
私はそう思った。
もし入部を拒否られても、権力を使えばいいし。
私は少し緊張しつつ部室のドアを叩いた。
中から聞こえるのは何度も聞いた(遠くから)彼の声。どうやら彼しか今は居ないらしい。
「入っていい?」
「どうぞ」
私はゆっくりとドアを開け、中に入った。
ドアに近い椅子に彼は座っていた。
「橘君。ちょっといい?」
「どうしたんですか?生徒会長?」
「んん。とりあえずその妹の生態調査?とか言う本を仕舞ってくれないかしら?」
「!!す、すいません!!」
こういうところもなんかいいな。
でも妹か、姉じゃなくて……
ってなんで残念がってるの私は!
ん?恋してるからこれは普通なのかな?
「ふぅ〜。でどうしたんですか?」
うん〜。
確かに仕舞えとは言ったけど服の下に隠してそんな大事そうにしなくてもな〜まっいっか。
「んん。私、この部に入部します!」
というわけで新キャラの鳳です!




