09 1冊目 p.9
6月14日(月)
今日は加藤さんが立花さんと一緒に教室を訪ねてくれた。手には先日貸したタオルと、可愛くラッピングされたチョコチップクッキー!
「金曜日は本当にありがとう。このクッキーはお礼。田中くんの為に作ったんだ」
ただタオルを貸しただけなのに、こんな素敵なものをいただけるだなんて……! タオルもドンが洗濯した時よりも柔らかい。まるで新品のよう。俺は、何度もお礼を言った。
で、家に帰って早速食べたわけなんだけど。いやー、美味しかった! さっきお礼のメッセージを送ったんだが、って書いてる最中にスマホが震えた。
「よかった。家族以外に食べてもらうの初めてだったんだけど、田中くんに渡したくて作ったの! 緊張したけど、喜んでもらえて嬉しい」
心落ち着かせるために書き起こしてみたが、いやいや、むしろ気になる箇所ばかりじゃないか! だって、初めてってどういうこと!? 俺が! ど、ど、どうしよう。なんか照れる! えっ、なんて返信すればいいんだ、俺は!
日記書いてる場合じゃないぞ、これ!
6月15日(火)
昨日の俺、興奮しすぎだろ。いや、今日の俺だって、加藤さんまともに見れなくなったから大して変わりないか。
心落ち着かせるためにごみでもまとめよう。明日は燃えるごみの日だからとドンもうるさいし。……そんなに汚れてはいないと思うんだが。
まあ、明日はあいつが来ることになったし、部屋と気持ちの整理がてらまとめていきますか。




