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田中英夫の観察日記~病んでるイケメン友人とその日常~  作者: 柑橘眼鏡


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03 1冊目 p.3

5月17日(月)

 あの宣言から立花さんと接触する回数が増えた気がする。


 今日は警察がわざわざやってきて未成年が巻き込まれる事件の紹介を体育館でしてくれたんだが、ふと横を見るとそこに立花さんと加藤さんがいた。偶然にしては出来すぎな気がしたが、自由着席だったので、岡田が何かしら謀ったのだろう。怖い怖い。


 再現ビデオは面白かったがそれ以外の説明は正直退屈だった。何とも言えない微妙な時間を終えた後、立ち上がって教室に戻ろうとする立花さんにすぐさま岡田が声をかけた。立花さんも退屈だったらしく、岡田とそのことで盛り上がっていた。先週話したのが初めてだというのに、圧倒的なそのコミュ力。羨ましいね、まったく。


 かくいう俺は、立花さんを岡田に盗られた加藤さんと話をしながら歩いた。加藤さんも再現ビデオが面白かったようで、突飛な展開についてお互いにツッコミを入れて笑ったりしながら体育館を離れた。


 女子と会話が続いたの、久しぶりな気がする。それだけで妙な満足感を覚えるんだから、俺もしょうもないな。




5月18日(火)

 中間テスト一週間前。だというのに、今日は文化祭実行委員の2回目の打ち合わせがあったのだが、岡田は特に何もしなかった。聞けばもう実行委員という立場に用はないらしい。知り合うきっかけに利用したかったんだと。そうでございますか。


 帰り際、明日俺の家に来たいと岡田が申告してきた。一緒に勉強をしたいらしい。断る理由もないので、快諾。母にその旨を告げると部屋を掃除しろと口うるさく言われてしまった。我が家のドンは岡田のファンで、例え俺の部屋だったとしても汚い部分を見せたくないらしい。……母上、俺、テスト前の身ですよ。


 辺りを見回しても散らかっている印象は受けないんだが、丁度燃えるごみの日だし、整理するか。ドンの機嫌も良くなるだろう。




5月19日(水)

 岡田はとにかく頭がいい。要領が良いというか、なんというか。苦労することなく、知識を吸収していっている。だから一緒に勉強をしても、岡田から何かを教わることはない。分からない人の気持ちが分からないのだ。


 お互い黙々と教科書やらノートやらを確認するだけの時間を過ごす。途中、岡田が何やら思わせぶりな話をし始めた。


「ヒデは心理学に興味ある?」


「吊り橋効果とかのやつ? 全くないな。樹はあんの?」


「そっか。じゃあ今度色々と紹介するよ」


「……そりゃどうも」


 思わず引き気味に答えてしまった。何を考えているんだか。




5月20日(木)

 今日は移動教室の合間に立花さんと加藤さんとすれ違い、少しだけ話をした。立花さんの明るくて輝く笑顔は見ていて癒されるものがある。……なんて思っているのがバレたら岡田に殺されそうだな。


 加藤さんはいつもにこにこしながら俺らの会話を聞いている。口数は多くないけど、温厚な雰囲気が場を温めてくれている気がする。……加藤さんへの感想なら岡田にバレても殺されないな。


 すれ違ったら立ち話をする間柄になったけれど、一向に連絡先は交換しない。そんなペースで大丈夫なのか、岡田?

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