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田中英夫の観察日記~病んでるイケメン友人とその日常~  作者: 柑橘眼鏡


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15 2冊目 p.6

7月6日(火)

 テスト期間真っ只中なのにこの日記を開いたのは、俺が無事に立花さんと会話することが出来たからだ! 褒めてほしいね、まったく!


 日直という面倒な役割のせいで職員室に寄る羽目になったが、ラッキーなことに職員室前の廊下に立花さんがいた。この時期の職員室は立ち入り厳禁のため、廊下で待たされている生徒は多く、立花さんもその一人だった。文化祭関連で職員室に用があったそうだ。


 俺の用事も立花さんの用事もすぐに終わり、一緒に駅まで帰ることになった。岡田公認なので、俺は堂々と一緒に帰ったぞ。


 立花さんにテストの調子を聞くと想定通り謙遜の言葉が返ってきたので、俺はそこで岡田から預かった言葉をぶつける。立花さんは顔を赤くしながら全力で否定し、岡田の方がもっと凄いと褒める側に回った。その後続いて、加藤さんが俺のことをかっこいいと言っていたよ、なんて立花さんが言うもんだから、俺まで顔が赤くなった。


 しばしの沈黙の後、わざとらしく立花さんは文化祭の話題に変えた。俺としても恥ずかしかったので、すぐにその話に乗っかった。


 穏やかな会話は駅まで続き、そのまま解散。


 反応的に岡田のことを嫌っているとは思わないんだが、なんかやっぱり変だよなぁ。立花さん。


 電車に揺られながらすぐさま報告したものの、岡田からは「ありがとう」の文字のみ。大丈夫か、あいつ? まあ、俺のこの加藤さんに対するドキドキもどうかしてるんだけどさ。これって、やっぱり、いや、テスト期間中はテストに集中しよう。




7月8日(木)

 テストが終わった! 岡田と一緒にお疲れ様会でもやろうと勝手に思っていたら、岡田は用事があったようで俺を置いてさっさと帰っていた。約束してなかったからな、仕方ない。ちょっと寂しいが。


 今回のテスト、ズルした数学と生物は置いておいて、それ以外はそこそこの出来だった。これは、もしかしなくても、30位以内の可能性があるかもしれない。


 どこにも寄らず真っ直ぐ家に帰って一人でゲームをしていたら、加藤さんから連絡がきた。目的のない会話っぽいメッセージのやり取りって、俺、苦手なんだけど、加藤さんとは不思議と楽しい。


 ……このまま楽しくやり取りできるなら、この関係のままでもいいんじゃないかと思ってしまう。実際、困っていないし。


 やり取りの中でまたパンケーキを食べに行きたいね、という話になった。加藤さんも立花さんの異変には気づいているようで、色々と落ち着いたら改めて企画しようと約束した。


 いつになったら落ち着くんだろうなぁ。そもそも原因が全く分からないからなぁ。




7月9日(金)

 井下から「この間、岡田と加藤さんが二人で一緒にいるところを見たぞ」と報告を受けた。井下には岡田が立花さんに好意を寄せていることを伝えていたので、この組み合わせに驚いたようだ。最新情報が欲しい井下は、岡田の好きな相手が変わったのか俺に確認してきた。井下は一体何を目指しているんだ。


 ……岡田は立花さん一筋とはいえ、加藤さんはどう思っているのだろうか。


 やっぱり、加藤さんもああいう顔も性格(表面)も良い岡田みたいな奴がいいんだろうか。二人で一緒にいたらドキっとするのだろうか。


 俺なんて、何もない平々凡々な存在で、たまたまタオルを貸せたりしてちょっとだけかっこいい所を見せただけの男だ。スター性のある岡田とは比べ物にならない。ああ、なんか書いてて自信なくした。

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