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田中英夫の観察日記~病んでるイケメン友人とその日常~  作者: 柑橘眼鏡


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14/20

14 2冊目 p.5

6月30日(水)

 勉強というテーマがあったおかげで、加藤さんとは普通に喋れた。たまに肩が触れ合ったりした時は、ちょっと……、いや、ここで見栄を張っても仕方ないわな。正直、かなり緊張した。なんか、どきどきしてしまった。俺、加藤さんのことどう思ってるんだろう。


 って、違う違う。この日記の趣旨を思い出そう。岡田のことを書こう。


 今日放課後に開かれたテスト勉強会は、想像していたモノとはなんか違っていた。勝手に抱いていたイメージだと、最初は皆で、途中から岡田は立花さんと、俺は加藤さんとそれぞれの分からない部分を聞くことになるのかなと思っていた。


 確かに、最初はそういう展開で、途中もそんな感じのペアで分かれていた。けど、俺が加藤さんに英語の長文の解説を聞いてるとき、岡田も参加してきたのだ。真剣な顔つきだったから、ガチで聞きたかったんだと思う。狩野さんのおかげで脅威ではなくなったけれど、安田氏に一位を奪われるわけにはいかないからね。


 その後の岡田はまた立花さんと一緒に勉強を進めていたんだけど、なんか変だったんだよなぁ。立花さんの反応がいつもと違うっていうか。


 休憩がてら岡田が用意してくれた流行りの店の焼き菓子を食べた時も、立花さんは変だった。俺らの会話に入ってこないし、話を振っても返事がおかしかった。本人も自覚していたみたいだから、あまり触れなかったけどさ。


 その様子は気になるわ、加藤さんは横にいるわで、勉強はあまり手をつかなかった。って、言い訳か、これ。




7月1日(木)

 早いものでもう7月。来週のテストを乗り越えれば夏休みが待っている!


 と明るい気持ちでいる俺だが、岡田は終日挙動不審だった。どうやら立花さんとスマホでもリアルでも会話が上手く続かないらしい。


 メッセージを送っても、終わらせようとするスタンプが返信の後にすぐ押されたり、登校途中に偶然(岡田談)会った時も朝の挨拶だけですぐに終わってしまったようだ。あのコミュ力の鬼である岡田がここまで苦戦するなんて珍しい。


 立花さんに避けられているのではないかと不安になっている岡田の精神状況は、あまりよろしくない。


 何かできることはないかと聞いたら、自分の代わりに立花さんと話して様子を伺ってくれと言われた。ついでにその際には、岡田が立花さんのことを一生懸命で、努力家で、尊敬していると言っていた、と伝えてほしいらしい。


 自分で伝えずに俺を通して伝える意図が分からないので、詳しく聞いたらウィンザー効果? というものだそうだ。マーケティングなどでも活用されている心理学のようだが、うーん、そう言われれば俺も当人からよりも第三者からの話の方が信じちゃうし、褒められていると聞いたら嬉しいなぁ。


 テストがもう少しで始まるし、タイミングがいつ会うか分からないけど、どこかで立花さんと話が出来るようにしたい。

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