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田中英夫の観察日記~病んでるイケメン友人とその日常~  作者: 柑橘眼鏡


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11/20

11 2冊目 p.2

6月21日(月)

 ご機嫌な岡田を襲う恐ろしいイベント起きた。当の岡田は違うことが気になるみたいだが、驚くべきことに立花さんが昼休み告白されたのだ。


 謎ルートで岡田が入手した情報によると、相手は1年生の水泳部。プール掃除で一目惚れしたらしい。立花さんはその彼と会話をしたことなんて一度もないので、もちろん丁重にお断り。連絡先も交換しなかったようだ。


 俺としてはその衝撃的な話を5時間目の終わりに聞き、6時間目の話が頭に入らないほど衝撃を受け、岡田が暴走しないか恐れていたのだが、岡田は冷静だった。


 思わず授業終了後に、なんでそんなに落ち着いているのかと聞いたが、立花さん本人が断っているのだから脅威ではないとのことだった。それよりも、岡田は立花さんと仲の良い男が気になるそうだ。俺も気になっていたことを告げると、岡田はやけに決まった神妙な顔で頷き、男の名前を教えてくれた。安田健一。それが例の男の名前だ。


 どこかで聞いた覚えがあると思ったら、前回のテストでは総合2位の人だった。それどころか、現生徒会の副会長だとさ。どうりでプール掃除にいたわけだ。


 もっと情報を仕入れる必要があるとのことで、俺は微力ながら協力することにした。丁度、ターゲットがいるクラスに去年一緒のクラスで仲の良い井下(いのした)という友人がいる。さっきメッセージを送った。返信が楽しみだ。




6月22日(火)

 優秀なスパイから調査結果が返ってきた。安田健一の大まかな情報は以下の通りだ。


・大手飲料メーカーの親族で親はグループ会社の社長。要は金持ち

・本来なら有名私大の系列校に幼稚舎から入るほどの育ちだが、家の方針で通学時間が短いこの高校に入学

・立花さんとは幼稚園の時に一緒だった時期があるようで、高校で再会し仲を深めている

・生徒会で副会長を務めているため、部活は入っていない

・温厚で優しく紳士的。さらにスポーツも出来るオールラウンダー

・凄いバックボーンを持っているが、本人自体は性格も見た目も普通の人のため、あまり目立つタイプではない

・とはいえ、隠れファンは多いらしいが、現在彼女はいない


 うーん、凄い。凄すぎて岡田に伝えるのを躊躇するほどだったが、意を決して報告した。


 岡田は俺の話を静かに聞き、終わると一言「分かった」とだけ言った。


 まだ安田氏が立花さんに友好以上の感情を抱いているか分からないから、なんとも言えないが、脅威になるとしたら相当レベルの高いライバルだよなぁ。


 それとなく加藤さんにも聞いてみるか。立花さんと安田氏のこと。




6月23日(水)

 不幸なことに教室移動の途中、廊下で話す二人を岡田と一緒に目撃した。


 新作のジュースの話で盛り上がっていたようだが、俺たちに気づいた立花さんは会話を止め、こちらに挨拶をしてくれた。


「二人とも、これから移動教室なの?」


「そう、視聴覚室にね。眠らないで済むよう祈ってくれると嬉しいな」


「ふふっ、分かった。頑張ってね」


 という感じで、岡田はすぐに切り上げその場を去った。普段なら時間ギリギリまで話をするのに。とはいえ、いつもと変わらないイケメンオーラ全開の爽やかさに俺は安堵した。


 その対応を称賛しようと岡田に俺は顔を向けたんだが……。それはもう恐ろしいほど無表情で、目のハイライトは消えていた。怖えよ!


 その後も感情を感じさせない反応しかしなくて、俺は本当に参ったね。早く学校終わってくれとこんなに祈ったことはない。


 ひと眠りしたら機嫌を直してほしいところ。俺は直るんだがなー。


 そうそう、加藤さんから連絡が入った。立花さんはただの良いお友達と思っているみたいだが、どうやら安田氏はそれ以上の気持ちを抱いているように加藤さんからは見えるらしい。うーん、その読みが間違いであってほしいところだけど……。

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