第9章―9
予定変更します。
当初は、妻の米内久子の女子補助部隊志願についての、米内洋六少佐の反応をこの章で描く予定でしたが。
改めて時系列を考えると、次章で描く予定の話の結末がある程度はついてから、というのが分かりました。
そんなことから、米内少佐が、娘の藤子からの久子の行動について手紙を受け取るのは、早くて次章、もしかすると次々章ということになるので。
妻の行動に対する米内少佐の反応は、それ以降になるのをご寛恕下さい。
本当に話が先走り過ぎたので、改めて米内洋六少佐が、米内光政首相率いる日本政府、陸海軍の指示に基づき、第二次世界大戦勃発に伴って欧州戦線、具体的には独仏国境でのドイツ軍対英仏軍の戦線方面に派遣される第一海兵師団の一員として、1939年11月に派遣される時期に話を戻すが。
「嘘も方便と言うが。余りにも程が無いか」
「確かに第一海兵師団を欧州戦線に無事に送り届ける為に、護衛艦隊を付けるとは言っていたが」
そんな会話が、日本本土を離れて、東シナ海と言うよりも南シナ海で、三々五々の体で合流している第一海兵師団が乗り組んだ輸送船団に乗り組んでいる面々と、それを護衛している艦隊に乗り組んでいる面々の間では、それなりどころではなく交わされる事態が引き起こされていた。
米内少佐にしても、そういった会話に実際に加わることは、ほぼ無かったが。
自分の目に届く範囲に全ての艦艇がいる訳では無かったが、護衛艦隊に所属する軍艦の種類や数については、そういった会話を交わす面々と同じような考えをせざるを得なかった。
米内少佐が把握している情報に従えば、護衛艦隊と称しつつ、実際には連合艦隊から主力が引き抜かれて編制されていると言っても過言では無かった。
空母は、「赤城」「加賀」「蒼龍」「飛龍」の4隻が揃い踏みしている。
戦艦にしても、金剛級4隻が勢ぞろいだ。
重巡洋艦こそ少ないとはいえ、妙高級4隻が随伴している。
他に軽巡「神通」を旗艦とする第二水雷戦隊を主力として、それ以外にも軽巡洋艦や駆逐艦が護衛艦隊に投入されている。
そして、余りにも数が多すぎることから、第一海兵師団の面々が乗船している輸送船団を直接護衛する艦隊と、間接護衛する艦隊に分けられている有様だ。
直接護衛する艦隊は、軽巡洋艦と駆逐艦のみから成っており、スエズ運河を通航して、まずは英本国に向かうことになっている。
それ以外の間接護衛する艦隊、要するに空母や戦艦、重巡洋艦を含む艦隊は、喜望峰を経由して欧州に赴くことになっている。
これは表向きは、艦隊速力が違うこと、更に大型の空母や戦艦がスエズ運河通航には困難があることから、別々に分けられたとされているが。
実際には、第二次世界大戦が起こって早々に展開されているドイツの通商破壊作戦への対応に、間接的に協力するという目的あってのことだ。
間接護衛艦隊が、インド洋から喜望峰を経由して、南大西洋から北大西洋へ、更にジブラルタルで直接護衛艦隊と合流して、英本国に向かうということは、わざと様々な筋から英本国等に伝えられており、この情報は、必然的にドイツ海軍側も把握することになっている。
そして、この間接護衛艦隊に、ドイツ海軍が対抗できるか、というと不可能に近い。
その為に南大西洋で通商破壊戦を展開し、あわよくばインド洋でも通商破壊戦を行おうとしていた模様のドイツ水上艦による被害報告だが、徐々に北大西洋に向かいつつあるという情報が飛び込んでいる。
ドイツ海軍にしてみれば、この日本艦隊に水上艦が捕捉された場合、それこそ全乗組員戦死という事態になることを怖れたのだ。
空襲に水上艦が無力なことは、自国空軍が既に実証している。
1万トンを超える「龍驤」が沈没し、「加賀」も大破していたのだ。
それより強力な日本の空母が保有する航空隊の空襲を受けては。
更にいえば、日本海軍の空襲は200カイリ離れたところから行われる可能性がある。
つまり、日本海軍が武士道精神を発揮しても、10時間以上の漂流を乗艦が沈没した場合はその乗組員は強いられることになり、その間に全員死亡になりかねない。
その危険回避の為に、ドイツ水上艦は本国に戻ることになった。
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