第8章―3
他にも砲火力の強化等が、陸軍では進められた。
例えば、師団砲兵については、91式10センチ榴弾砲と96式15センチ榴弾砲に更新する方向が決まった。
とはいえ、日本の大砲の生産能力から、これは遅々とした代物になり、かなり先走った話になるが、米国からM2、105mm榴弾砲やM1918、155mm榴弾砲を購入することで、第二次世界大戦中は凌ぐ事態が起きることになった。
言うまでも無いが、自動車けん引を行う方向で、91式10センチ榴弾砲と96式15センチ榴弾砲の整備は共に進められている。
歩兵の小銃火力についても、三八式歩兵銃から九九式短小銃への更新が進められており、機関銃にしても99式軽機関銃や92式重機関銃(後に1式重機関銃に)への更新を懸命に進める事態になっていた。
当然のことながら、全ての部隊の自動車化も推進されている。
だが、その一方で、日本の国力の限界から、常設の海兵隊への歩兵装備等は、旧弊と言われても仕方のない代物になった。
例えば、野砲については、M1897野砲等を導入することになった。
歩兵小銃については、陸軍のお下がりといえる三八式歩兵銃を装備せざるを得なかった。
こういった現状に、米内洋六少佐等の現場の海兵隊員は不平を零したが。
とはいえ、それこそ現在の日本に取って最重要課題は満蒙の防衛であり、その為には陸軍の強化が最優先とあっては。
海兵隊の装備が、旧式だったり、陸軍のお下がりだったりするのは、止むを得ないとしか、言いようが無いことだったのだ。
その代わりという訳ではないが、海兵隊は完全自動車化されることになっている。
皮肉なことに(相対的だが)小規模な新設の部隊であることから、海兵隊は完全自動車化を図ることになったのだ。
実際問題として、馬匹部隊を創設しない以上、輜重等の部隊には自動車を導入しないと、海兵隊はどうにもならないのが、現実でもある。
その為に、陸軍の一部はやっかんだが、海兵隊は完全自動車化を図ることになった。
そして、米国企業との合弁により、技術力等を向上させた日本の自動車企業は、こういった陸軍や海兵隊の要望に、何としても応えようとする事態が起きていた。
更に言えば、自動車産業のすそ野は、様々な意味で広大である。
尚、GMやフォードの本音としては、それこそ自動車製造に関して、その部品等は米国で全て造って、日本では組立のみを行わせたかったらしいが、それでは部品を造ることによるすそ野の拡大を、日本が行うことが出来ず、産業界の基盤向上にはならない、ということから、日本では官民一体となって、それこそ素材等から日本国内で製造しようと努めることになった。
更に英仏系等のユダヤ資本も、自国政府等を巻き込んで、日本の動きを後押しした。
それこそドイツ国内では、ユダヤ人に対する迫害が強化される一方であり、かといって自国内にユダヤ人を亡命させようにも、自国内でも陰に籠ったユダヤ人差別があるのが現実なのだ。
こうしたことから、相対的な話だが、ユダヤ人差別がそんなに激しくない日本や満州国に、ユダヤ人を亡命させよう、とユダヤ資本は考えて、日本に亡命への協力を求めることになり、それに対する見返りとして、資本投下等を行うことになった。
英仏両国等も、来るべき第二次世界大戦に際して、日本に兵器廠としての役割を求めていたことから、それこそカナダ等を介して、米国製の最新鋭工作機械の日本への迂回輸出を、暗に支援するような事態が起きることになった。
(このことに、米国政府等の一部は激怒したが、流石にカナダ等への輸出を止めることはできない。
更にカナダ等から日本への転売を止められないのも自明だった)
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