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第6章―13

 そういった裏事情を踏まえた上で、満州に対する表向きはユダヤ資本、現実には米英資本に対する門戸開放が行われる事態が起きることになった。


 そして、日中戦争における大敗から、日本陸軍(及び新設される海兵隊)の改革は必要不可欠とされ、その為には、機械化、自動車化を様々な面から進めるのが必要不可欠である、と政府や軍部の最上層部では判断される事態が起きたことから。


「GMやフォードと積極的に提携して、日本本土に日米合弁の自動車生産工場を造れですか」

「表向きは、日本政府や軍部は何も言っていないが、戦時における国家総動員法適用に際して、それなりに「配慮」が為される、と言われてはな」

 三菱等の財閥最上層部では、何とも言えない会話が交わされる事態となった。


「これまでも、軍部からは自動車産業等の保護が行われていなかった訳では無いが、それは金に糸目を付けない支援を行う、という代物で、必ずしも国民、市民が自動車を積極的に保有しよう、というのを支援するとは言い難いモノだった」

「全く以て、その通りです。それこそ軍部に提供される自動車について特注品にしろ、というモノで、国民、市民が保有する自働車について、軍部は無視していたと言っても過言ではありませんでした」

「だが、日中戦争の戦訓から、軍部としては、日本の国民全員が、自動車等に習熟する必要がある、と考えるようになったようだ。実際問題として、それなりに自動車に触れていた者と、自動車等は見たことが無かった者、どちらが自動車についての知識を事前に持っていて、戦場における自動車運用で役立つ、と考えられるだろうかな」

「そういった点を言われては、返す言葉が無くなりますな」

 財閥最上層部においては、そんな会話までも交わされることになった。


「自分が聞いた話で、どこまで本当かは分からないが、全ての陸海軍の新兵に対しては、自動車運転免許を持っていない新兵に対しては、自動車教練過程を必修とすることになったらしい。それによって、自動車の普及を、日本中に進めていくつもりだとか」

「自動車運転が出来ます、という者を増やすことで、自動車普及を進めようとか。それこそ卵が先か、親鳥が先か、という話になりそうですがね」

「そういった話を、敢えて欧米諸国の財界に流した結果、色々な条件付きで、自動車工場等の合弁の話が持ち込まれる事態が起きた訳だ。実際に悪い話ではない。それこそ旋盤があれば上等で、基本は手作業、ということから生産性が低かった工場の現状が、合弁に因って大幅な技術導入が出来ることになり、生産性の大幅向上が認めることになる訳だからな」

「でも、それによる利益は、欧米資本が多くを得ることになるのでは」

「それは否定できんが、新たに自分達は卵を1個得られそうなのだ。卵1個を欧米に渡すのは癪だが、だからと言って、卵1個が得られる利益を自分達が捨てても良いのか」

「確かに仰られる通りです」

 最終的には、そこまで突き詰めた会話が交わされた末に、日本の財閥は、表向きはユダヤ資本である米英等の欧米資本との連携に前向きに対処する事態が起きた。


 実際問題として、この辺りは、色々な意味で日本の軍需生産においては急務な事態が起きていた。

(史実でもそうだったが)これまで、日本陸軍は総力戦体制の確立が必要不可欠だ、と言いつつ、その内実について、多くの幹部が理解していなかったと言っても過言では無かった。


(それこそ、戦時においては未熟練工員を大量動員し、その熱意で何とかなる、と陸軍は考えていた、と言っても過言では無かった。

 だが、現実はそれなり以上の工作機械導入等が必要不可欠としか、言いようが無かったのだ)

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 輜重と砲兵の自動車化以上の事が出来るとは思えません。機関銃中隊の馬鹿げた携行弾数(各銃割当一万発)」も三トン半一両と各銃の車両で載せられます。   もっとも、米英であれば考える必要もなく補給が来る…
 財界のざわめきから浮かび上がる、上海ショックで「旧弊な歩兵による肉薄攻撃から機械化兵力の運用を模索する方向」へ大きく変化する日本の作戦術(・Д・)同じぐらい機械化兵力にやられたノモンハンと大違いです…
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